マスクなど宇宙の果てまで飛んでいけ空気の味はテイスティングで
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風呂上がり濡髪のままあなたの膝へベリーショートの利点の一つ
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美味くないピーナツバターの食い方がわかれば自分も変わる気がする
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母さんのようには行かぬオムライスケチャップはもっと煮詰めるらしい
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コミュ力を育てた五人家族かなケンカもしたがその甲斐もあり
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名月が雲の彼方にあるのかと無駄と知りつつ空を見上げる
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人々はそこがカラオケじゃなくても歌う行為が許されてるのに
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こだわりを、癖を、「らしさ」を、失って まっさらになって目を閉じたひと
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赤ちゃん脳’s少しの指導でふて腐れマジで疲れる三十男女
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湯剝きしたトマトを冷やす夕方にこれをわたしは愛と呼びたい
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中秋の 名月という ことなんて すっかり忘れ 寝る前気付く
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絵は描けず曲も作れず歌は下手それでも自分をあらわしたくて
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露結ぶ 中秋の月 おぼろげに 絶えた虫の音 静かに包む
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あくる朝 君の隣で まごついて もう朝だよと 言うか言わぬか
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午前三時 君の砂漠は ネオンライトの中に
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足下にゴミの破片が落ちてるだけで空いている公共の椅子
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人影の絶えた商店靴音がよみがえる夜夢をもう一度
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時計針少しずれて再びは同じ時には戻れぬ二人
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夕茜ゆうあかね薄れていった大樹からいま浮き上がってくる丸い月
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立ち枯れの古木の陰に陽を避ける鶏二羽の羽根を広げつ
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焼き餅を 焼くときだって 火がいる と知ったあの社会科見学
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中秋の名月を隠す雨雲 カーテンコールの如 鳴く虫
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お月様 迎える準備 整えて ベランダ出れば 雲に笑われ 
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返信ができないうちにカルピスの賞味期限が切れてしまった
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エンドレスエイト 輪廻 銀河系 冥王星まで残り9km
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澄む月の 強きあかさは 興なけれ 雲一つにも かかるがをかし
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皮剥けば つと香り立つ青蜜柑あおみかん 今日の疲れを緩くほどきぬ
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離れても見上げる月は同じ月 君はどうかな想いよ届け
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ブルベでも骨格ウェーブでも無いけれど自爪の形には自信があります
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傷ついたレコード盤をなぞる針みたいにおなじ愛をささやく
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