役所より 届きし名簿 せつなくて みた指先 空欄を撫で
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ゆっくりとまぶたを下ろし深呼吸 百年眠るはじまりの夜
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朝からの寒さ和らげ春時雨 傘持たぬ身を優しく濡らす
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散りてなお 風と遊びし 山茶花サザンカと ひっそりと咲く 水仙の花
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すっからかん近所のイオンはまだ七時 半額惣菜弁当はどこ
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記憶の層たまねぎのよう重なりて 沈丁花の香 古層を貫く
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風がない散歩は体も暖まりタートルネックが邪魔っけな首
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南風はえ吹けば遅かれ早かれ沈丁花 はつに嗅ぐのは誰の鼻やら
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明ける空 時刻が少し 早くなり 鳥のさえずり 歌声のよう
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ストレスで 耳鳴りがする ようになり ほんまやばいで どうするべえか
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寒い夜に何を話して過ごしたかガレージの隅にねこが三匹
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夫との共通の趣味 ホラー映画 恋の延長 吊り橋効果
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犬畜生 「畜生」はケモノという意味 なんか犬だけ特別じゃない?
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油から逃げようとする油見て手を差し伸べた 火傷を負った
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屋外に出ると空気があたたかく自室の方が寒い如月
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近視用メガネの上から老眼鏡 Wメガネで刺し子は進むよ
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雨の中パーカーのお腹から出るチョコは今年のハート缶ふふ/6つ目
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キミと飲むことのできない現実に『ほろ酔い読書』プレゼントする/happy valentine
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如月や半年ぶりにキミと逢うなにと言えない涙流るる/嬉しさ寂しさ安堵そして切なさ
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盲目の恋を濁したこの夜は誰も見てない私を見つめて
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昨日食べたホットケーキの美味しさがきっと今ならわかるのになぁ
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機種変の反動で消えるトーク履歴思い出せなくなりそうな日々
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没入感 ゲームの世界のリア充は現実の非リアより強いのか
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何も塗らなくても荒れないその背中 「かゆっ」と言われて緊張走る
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痒いから削るように掻く 削られたいわけじゃないので 苦しいんスわ
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インスタントコーヒー色のお湯を飲む 日常的に致死量だった
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カフェインの過剰摂取はやむを得ない 幾重もの中毒と踊ろう
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私から異臭 負けないで ボディソープ ちゃっちい香りの敏感肌用
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創作の泉じゃないのよ傷口は カサブタ剝がすのたのしいけどさ
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生活を 見直してます 舐めんなよ 人生 自力で立て直してやる
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