意味もなく忘れただけのスイッチにかくも重たい後悔の澱
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手放せば道のでこぼこ舵をいぢり勝手気ままでやがてぶつかる
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いつもとは違ういろあいスーパーの通路を歩く客の服裾
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百獣王ライオンが 生き残りたい 生きてたい と吠える歌は 私キミの主題歌
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遊ぶ声絶えて久しきこどもの日泳がぬ空に雲の白波
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境内のブランコ一人漕ぎみれば滑らかなりああよき神社なり
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月の夜 子は泊まりけり 暇が出来 どうしているか 思いふけるや
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暑い夜窓を開ければ風ながれ星空ほどに体は軽く
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苗育ち田圃たんぼ映るうつかげきえる君のひとみの僕もやっぱり
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葛城山かつらぎさん 山頂で見た猿廻し 何故か哀しい子猿の背中
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学業の費用の免除されたって脳の加齢は免除されない
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今わたし車無いから遠出とか、雨の買い物出来ないのよね
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どこに行く?どこにも行かない。おとなりの店が休みじゃ買い物できない
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連休のニュースは全て他人事だから言い訳しちゃうんだけど
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皺深き白寿の媼の言の葉は丸みを帯びて芯は強くて
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縁側でおうなは背中を円くしてただひたすらに写経書きたり
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これだけの量を使えばだいたいはもちもちなるよね乳液サンプル
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右頬がぴくっと揺れる「愛してる」これから先も嘘をついてて
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キミは日々 成長おおきくなっていくのにね 俺は止まったままの抜け殻
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飲み会に 行かなくなったよ 意味なくて。 君と待ち逢う 楽しみないから
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観光も帰省もせずにただ過ごす余る時間を分けてあげよか
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みどりの日 混みすさまじき 山手線 目的の駅 降りられざるに
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鋼鉄と金剛石とコランダム製の骨董品を毀した
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少しだけあぜにて眠る耳元でもう起きろとささやく薫風
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革越しの私に骨をもたせかけ君は「新青年」を手に取る
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人類が滅びたあとも水平にすすみつづける株価のグラフ
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うたできぬ へいおんなひび すぎてゆく よ民げんきか 泡沫派は かいちょう(笑)
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帰りゆく春の霞の袖引きてしばしとどめよ逢坂関
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六度目の接種券など送られて接種日、予約日細々とあり
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君は逝く「ごめんね」でなく「ありがとう」僕に残してグッと手握る
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