こんなにも生きていくのが苦しくてつり革を持ち曇天を見る
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パソコンのマウスが二つ並んでるこんな夫婦になりたかったな
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空腹の大人のような顔をする裸になって痩せ衰えた森
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駅伝を観ずに新年過ぎてゆく珈琲だけは美味しく淹れよう
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大雪で二時間遅れの電車待つ ずっと英単語見てる君
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麻雀のカンでネッ友思い出す どんな声だっけ今元気かな
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「レポートを教えてほしい」は建前で 「空きコマはいつですか」を聞きたい
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わからないふりして微積聞きに行く 先輩どこの大学行くの?
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電車でのぞき見た先輩のチャート  今日の授業で私も習う
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初詣 馥郁かおる古都の町 雅に酔いて 春はまだかと
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無意識に増えた眼鏡の傷たちが 僕の視界をただ曇らせた
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師走 くたびれた優しさの海 君の車椅子に掴まって泳ぐ
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社会的存在として「同期」する、したい、してしまうのだねヒトは
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空気すら静止す冬の街に二人 指 視線 頬 絡め 蠢動
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祖母は言う「背が伸びたねと」 何度でも更新される僕のVer.バージョン
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無駄なほどに白い雪を焦がすのさ 悲しみ宿るニキビ面でな
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変わらない のんびりひらパー生き残り 大手潰れし栄枯盛衰
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旅に出ようと思った パスポート見つからなくて 本を二冊買った
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そんなつもりじゃなかったと言うなら言葉選び検定は六級
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あかねさす 昼に酒飲み ぬばたまの 夜も酒飲む 年始このごろ
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正月も あと数刻で 終わりなり 三日からは もう仕事の身
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見上げれば 雲間に光る太陽に まばゆい網膜 さあ歩き出そう
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彩れよ 細胞よ踊るその手足 凍える夜の星のまたたき
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てのひらにそれを感じる雨の朝遠く重なる裸木に霧
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とめどなく川は流れる側溝の廃油の膜に美しき虹
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乳歯とはいずれなくなる永遠と独りつぶやく冬蜂が死ぬ
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さみしさを夫婦で分ける白煙の高く高くとたなびくを見る
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水鳥は静かにもがく池の土手さみしき藪に雉の鳴き声
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決断の色ってどんな色だろう赤く赤くと散り急ぐ木々
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転んでは起き上がるのを繰り返す木の葉の雨を静かに纏う
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