赤い月爪で引き裂く母つまり太古の夕陽叫ぶ密林
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LJKコロナ禍生きる私たち青春はどこ?と笑う友達
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カーテンの隙間から青差してきてスマホを置いて寝るよるのあと
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ガンダムや龍や戦車で帰りゆく先祖は笑う盆は過ぎゆく
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「次会ったとき返すから」嘯いて知らぬ体温うつした指輪
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夕立の残り香連れて侵す指 暮れる音すら聞こえぬところ
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ベランダで干からびること想像し視線突き刺さる夏室外機
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感傷の道具ではないひめゆりの塔フードコートにいるおばあさん
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雪でもなく砂でもなくただしんしんと眼の奥を埋めてゆく「もうやだ」
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昼中にパンジャンドラム楽器だと思い込んでる君の青シャツ
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父からの手紙に励まされる今日は受験の年の誕生日なり
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ポケットに玉子蒸しパン差してみる。玉江の浦の砂嘴の月かも
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波音におどろ踏みわけ丘に来た。つきの御影に、小待宵草
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ちょう番う 赤いセルフォン温ぬれば、ふるいおとさるきのう多かり
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夕晉む 杉山裾に帰るかぜ。くもがほつれて、一縷たゆたふ
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年ゝに沖の流れは高くなり、吾がきたうらの 松が根を裂く
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砂遊び 定型ちゃんとおともだち非定型ちゃんも大人になるわ
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ハモネプの こと 魚だと 思ってた おじいちゃん お盆だから居る
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擦りむけたひざもほっぺもものとせず補助輪はずす背中の翼
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淋しいと言うな抱きたいんだと言え 丸い氷はゆっくり溶ける
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20分背中揺られてガタンゴトン 二両編成は揺り籠と化す
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マンゴーに似た月が空のぼるころ 愛がバクハツ総菜売場
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目を覚ます三分前に完成したばかりの世界ですよく来たね
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人間として愛されることはむつかしいから私あなたの犬になりたい
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何回も何回も朝を迎えても いっこうに何も見えない夏か
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ムヒがない 地獄・真夜中・第二類医薬品 ・コンビニ:絶望
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メネラウス どれだけ個性に 生きたとて 結局迎える同じ終焉
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なぜか頭から離れずに眠れないナーナーナーナナナーナナー
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退職後の給付金の案内の「埋葬料」に誘惑される日
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旅びとの孤独は燃える、だからこの炎はきっと神までとどく
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