サミシクナルトウタイマス
町外れぽつねんと立つコンビニに入れば客は僕だけの夜 1
見上げればただひたすらに青い空何かこらえているかのように 1
遙かなる深夜ラジオが告げるのは故郷の海の波の高まり 3
天の川よっこらせっと引っぺがし畳に敷いて冷やす夏の夜 1
土曜日のさみしい夜のツイッターいいねの数はため息の数 2
新聞の憂い哀しみ夕べにはていねいに折り畳んでかたす 1
中華屋のギョウザ一皿平らげるようにアタシを食べてった人 3
月影のつつじの道の尽きる頃ひときわ匂う薔薇の咲く家 2
悲しみをリンゴとともにすりおろしレタスに和(あ)える春は青空 5
山手線座席は全部埋まってます人の数ほど人生があり 3
雨静か朝の光の微かなる僕の人生思うともなく 2
台所床に転がるジャガイモが芽を出すように恋をする僕 3
高く舞う鷹にもなれず夕闇の薔薇にもなれずたたずむ僕は 3