涙のかずだけ強くなれるのなら 私は最強うつうつのみで
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歌日記同じ歌題をまた詠みて 物の見方の変わるに気づき
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あめふりの かさをクルクル ちちとこの みずのたたかい とうえんたのし
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「意味がない」と海へあいつが投げ捨てた言葉を食べたイルカが空へ
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蟷螂の臂を車轍に当てむとす仲夏の卵鞘ただうつろなり
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よさこいも楡陵祭も過ぎて初夏 飛んで目に入るポプラの綿毛
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草花には恵みの雨か 降り注ぐ だけどもちょいと激しくないか
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張りつめた言葉のうらの優しさに気づけないまま時は流れた
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8888のアルファード求めむと思へども我に真子なし親同胞はらからなし
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突然に続く真夏日耐え難く 蝉の声すら聞こえる気して
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梅雨入りを待たず降り出すなみだ雨 きっと誰かの涙のかわり。
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まぼろしの縫い針と糸が口元でとびだす本音を牽制している
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蔓延はびこった 草と格闘 そののちに クワガタ顔だす 月夜の露天
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お互いにお前が悪いと指を指すそれで消えるかわれの罪悪
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紫陽花のさかりの入梅ついり 惜しむかの如く ポツリと咲き遅るる薔薇
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灰色の 雨また雨の 降り下(お)りて 黄金の麦も また雨の中
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アオダモに掛けた巣箱に耳すませ漏れ来る音に生命知るらむ
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美味いもの 家族にもやりたいことはりよ さくらんぼゼリーをあちこち渡す
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ニャンニャンニャン ゆめだよ おかあちゃん どうちたの ちま猫ちゃんが ここにいるよと
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夢のなか 長女猫あのこをもいちど 亡くしなおし 悲嘆にくれて 起きたらば ねこ
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スポーツはできないけれどスポーツを始めたくなる歌を詠みたい
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すりガラス仕様のビニール傘越しは梅雨入りしたての空も明るい
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真南に 夏を据えれば画角ずれ 影なき舗道 空ばかり青
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不機嫌な顔してキャベツの葉を捨てる 私もじきに捨てられるだろう
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あじさいの時計の工作見せたくて じゃのめで迎いに来た母の影
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風邪治し やっと合唱参加して また風邪もらい 養生の日々
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ファンタにさ 果汁求めて 三千里 自然がいいわけちゃうやろ 字余り
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ドアノブの静電気とかくしゃみとかふとした瞬間女のよわみ
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真新し 傘と長靴 身に付けて 露草見つけ 雨も楽しき
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橘家 上のコダマを 隠しては 社に出づる 光と望ヤングケアラー
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