五十年前の「新日本紀行」観た そこに映っている大人たちはもう、いない
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うたたねのスクールバスから目を開けて前髪貫く陽の眩しさ
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ラジオからペーパーノイズが這い出して鼓膜を撫でる優しく撫でる
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たけのこときのこは 抹茶が出てるらし これは全国 ならば買おうぞ
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近道がずっとできずに遠回り小さな不幸を避けてく日々 
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紅梅と白梅咲くや公園に春を探しに車椅子行く
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冬空にスノームーンは冴え冴えと凍土に咲くはスノードロップ
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ヤフー天気 ポチポチ眺め 雪だるまの デカいマークに 嗚呼寒波なり
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青白く霞む 雨水の空の際 軋む電線 咳払い一つ。
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豆乳とチョコだけ食べてダウンする ゆで卵さえも無理であったよ
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こんなにも晴天続き乾燥に野菜は高値に こめ不足聞く
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ブロコリの太くて固い芯すらも糠に漬ければ美味しいおかず
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おとなりは学校帰りの男子らが溜まりがちなり春はまもなく
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ひなあられ並んだ店先春だども冬の風吹く帰り道かな
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つくづくに北国生まれの遺伝子か雪降る日には何故か落ち着く
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冷水で顔を洗えば血圧が上がる感覚おぼえる寒波日
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古本屋短歌入門立ち読みす嗚呼めんどくせぇ吾は吾が道
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うにょにょにょにょうにょにょにょにょ~んって揺れている 君が必死で手を振る彼岸
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どこからが凪でどこから風なのか 僕は怒っているのだろうか
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通院の妻に付き添う待合を静かに包む時のにこごり
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あたた めて わんに移した おきりこみ 遺影の妻と 一緒に食べる
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わが恋はオアシス見せる蜃気楼空しく消えた後の乾きよ
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春告げる雛飾ひなかざれども近畿では 奈良お水取り済むまでは冬
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ウォーキング 途中で風雪強まって 気分はロッキー 家路を急ぐ
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母親に もっと働く ようにする 法律なんて 少子化加速
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この子らが 大人になれば 世界まで 大人になれば いいのだけれど
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いつの日か 何もできない ようになり 土から生まれ 土に還れば
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天才を 一人見つけた また一人 大人になれば ただの凡人
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トランプが またやってるよ あちこちで ディール大好き おかしな爺
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嫌なこと 誤魔化しながら 日々生きる やりたいことは できないもんな
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