水明かり 山紫に 空茜 旅路に光る 風のささやき
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駈けてでも拭いにいくね 私と出会う前に流した涙をぜんぶ
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残雪は 風を味方に へばりつき 春押し返し 子をまもりたる ※「子」 雪の下の草や種子や生物
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遮二無二しゃにむに 玉ねぎ刻む 滲む涙 そのせいと自分に言い訳しながら
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津波から逃げる人々の映像「逃げて」と願う十五年後も
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信号に西日が射して赤青黄分からぬままにままよと進む
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君たちはいつになったらいなくなる冬越たらしカメムシに問う
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若人わこうどよ 無闇矢鱈むやみやたらを 恐れるな  みちを守れば あとは自由だ
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幼き子 母生き写しと 言われども 柔らかき髪 父を写せり
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東京は駅でお土産買えるわよ。それって多分駅弁だろう?
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不可能を墨で上塗り葬れば焼かれし辞書の生き生きとして
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山手線回ってるから大丈夫。外と内との違いは知らない
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東京の部屋の相場は高くって時に食品投げ売りをする
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群がってディズニーランドの謎を聴く『弁当あったら没収なのよ!』
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何も無い田舎は嫌だ憧れの東京立てば一歩動けず
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大戸屋で五穀ご飯を頬張って、「これで健康。今日も酒飲もう」
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やわらかな春の匂いに誘われ見上げた先に伸びてゆく雲
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魔法より鮮やかなる手見蕩れたり羽ばたいてゆく飴の白鳥
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端っこの折れた歌詞カードにもらうサインが少し滲んでみえた
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うつくしい世界をうつくしいままに愛せるように瞳を閉じた
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立ち止まる場所は決まって橋の上青い自転車鳴らされるベル
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ありふれた日常を切り取っていただけの 貴重な映像 増えない時間
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水明の 月の影映え 空茜 紫雲たなびき 魂透むや
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過ごすうちに空いたところも埋まっていくと 思いながらも不意に崩れて
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ここにいてよ いて欲しいんじゃなくて いなくなるのがいやなんだけどね
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男らが口付けをする映像に 私の場合は吐き気催す
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BLに何故に女子らは惹かれるの? 理解に苦しむその感性は
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月爆ぜて欠片が踊る遠い国 食べきれそうにないオムライス
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昼寝を「睡眠補給」と言い換えて気取る三月五度の十二時
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延性のある悲しみよ どこまでもどこまでもゆく 小さなお家
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