見上ぐビル慣れぬスーツの君の背に都会まちの風吹く就活の儀
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今のことほかの人には言わないで こう頼んでも言う人は言う
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節々ふしぶしが湿疹も出るため息だやれると思いてサツキ剪定
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憧れは人目も気にせず濡れ鼠 空をまとっていつか還る日
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何気ない 細かな記憶 よみがえる 長い年月 重ねていても
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何となく チーズケーキを 食べてみる 君が好きだと 言っていたから
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ゆびさきの においかぐのは ごあいさつ ねこはたずねる 「だれかにゃ?」クンクン
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帰りの車くるまにて寝床を作ってくださるから ついつい爆睡 気づけばマンション(駅までの予定が、住所みて送ってくださった‥感謝🥲
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土産物あちこち選びて 束の間の 日帰り小旅行ドライブ 終わりを告げぬ
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今日の晴れ梅雨入り前の一仕事 あれもやりたいこれもやりたい
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真夜中に歌って騒ぐホトトギスごめん四割風流と思えぬ
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所有することのかなしみ 賭け金も尽きてたたずむ夢の切岸
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そよそよと青葉の香り纏う風我好むいま小金井の森
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びつしりと励みが詰まる祖父からの手書きを読めばじんわりと更け
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短歌本初めて開き眺めるも良さが分からず静かに戻す
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78歳にしてはiidx弐寺がバカ上手い 音ゲー後は蕎麦と青汁
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彩りのフルーツ並ぶ棚棚にニコニコ取りて5歳児の午後
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文字だけの隙間を埋めるハグとキス直に会わねば充電出来ず
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ポイフルが 夕立で溶ける謎現象←これ丸ごと季語にしてくれませんか!?
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この春におろしたスニーカーでゆく水たまりの道 すこしずつ染まる
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雨予報 外れて晴れた 日の朝は 得した気分 カーテン洗おう
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短冊の如 藤枝に吊るさるる豆 初夏の陽を浴び 育ちをり
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上座部の沙門が得たる解ありて 拡散し得ば大乗となり
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パスケース 最初に渡した プレゼント 長く使われ 貴女に感謝
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雨雲が 微かに映る グラス越し 滲んで見えた 君の横顔
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異動前 最後の勤務 貴女への 想い込み上げ 涙を我慢
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薄まった アイスコーヒー 飲み干して 席を立つのは いつも君から
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のこされし蜂蜜瓶を抱きしめて 琥珀をひとつスプーンに掬う
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浮かび来た 気に入りフレーズもふ忘る 五七つらなり空に彷徨ふ
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老木の庭にたわわの青梅をジャムに煮る香や孤独の至福
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