灼かれると知っているのか?夕暮れの蛍光灯に飛び込む虫よ
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茜色外骨格の君を焼き外を剥き取り本質を得る
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生き急ぐ心に拍車をかけにけり金銀木犀今年も香る
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水は嫌、餌も要らぬと吠え続け 焼き芋だけはモリモリ食べた /今週の愛犬「好物」
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ぬばたまのぬばとはなにぞ コンビニでパン買う黒人よ教えてくれ
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日曜の夜の憂鬱は歳経ても サラリーマンの持病であるよ
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唇に甘しクリーム 笑う母 糖尿だけど 今日は誕生日
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突然の メールはヘッド ハンターで 話を聞くか 悩みし夜を
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ただ「生きる」その一言が難しく段差越えても迫りくる壁
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吹く風に秋の深まり感ずは合いの布団の温さが嬉し
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自制せど炭水化物祭なり サンドにお稲荷ラーメンまで食べ
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耳残る幼子たちの駆ける足 新幹線でノイキャン入れる
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入るなり目尻をぬぐう床の母 愛なお負けぬ記憶の病
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好きよりも嫌いの方が一瞬で伝わるなんてせつないですね
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テーブルの下でまんまるまなこしてキラキラ期待猫缶はぁ⋯ない⋯
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BGMヒア・ゼア・アンド・エブリウェア部屋の掃除す日曜の午後
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金木犀ほのかに 秋の露天風呂 友を誘ひて 語らふ休日
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湯気のぼる油の香りとメンチカツ箸をいれると汁が弾ける
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脳幹に恋して敗れて笑みを得る アポトーシスを告げてください
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靴べらが 楽だってこと 今までは 感じなかった はずが今では
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即席みそ 君に選ばれ 踊るわかめ 笑って曇る 深緑の眼鏡/「海藻」
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愛情と嫌悪でできた自己の音を止める一句と心中したい
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私はね、短いけれど君の袖、長いねと笑む職場の秋よ
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秋まつり 子どもの獅子に 笑みこぼれ 感慨深く 大人集まる
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つがい鳩 エゴの小枝に つかまりて 仲良く木の実 啄む日曜
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夕焼けを僕だけが見ている街にいくつもの新車 いくつもの手からふうせん
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後ろに住む誰かは姿見せないのにみんな生きてると言う透明人間か?
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小説に栞を挟むようにして恋終わりたる まだ読みかけの
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生姜糖頬張る顔ぞ大人なり そよ風吹くや袖集めし
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師と仰ぐ想い重ねしその月に 君や振りせし唯祈るぞなき
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