長かりし熱帯夜の日々終わらせる慈雨となりぬる秋嵐かな
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透けている血管の青と紫を今更ながら優しく撫でる
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ひりひりと波立っていく心なりほんの些細な出来事なれど
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いつだってやさしくありたい溢さずにシュークリームを食べきってみたい
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繰り返す2歳が鬼のかくれんぼ隠れる所もうありません
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ひとり風呂子の水鉄砲構えては一心不乱に打ちまくる深夜よる
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猛暑日になろうかという日の午後に薬用リップのコマーシャルみた
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海沿いの町で記憶の断片を探して歩く青春ゾンビ
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ひさかたの 秋はいづこか 鳥はなく 空こそかすみ 姿隠さめ (九月一六日 七十二候「鶺鴒鳴せきれいなく」より)
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開けている右耳にピアスそんなやつ駐車場にて駐輪している
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茜空 夏を見送る 風が吹き 今日が最後の 真夏日なるか
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夕食は冷やし中華の食べ納め鼻つくカラシもしばしお別れ
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かなしいな 短歌づくりに没頭し 電車のりこし多摩川を越す
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「ランドセルあかにする」 うそ ほんとうは あっちのくろいのがよかったの
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君よりも もっといい人がいるなんて わかってるけど 君じゃなきゃ駄目だ
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本届く ひらけば家事が手につかぬ 抵抗するも結局負ける
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珈琲も空も薄めのブレンドで たしかに匂う風の秋色
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この店の 客は全員 能力者 指先だけで ストロー曲げる
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雨靴を履き 夕雨に備えしも 美しき秋夕焼あきゆやけなる帰路
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夕立に 煙草の煙を被せても ログインできる 悲しい世界
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片付けぬうちに新たに積まれてく仕事消えないテトリスのよう
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能力を 無効化させる 能力を 自分に使って いると言いはる
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念力で お湯を沸かして いたけれど T-fal買って 意味がなくなる
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生きることヒマつぶしだと言う奴の額を出してデコピンしたい
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祭りにて色とりどりのお面あり俺はもう買う必要が無い
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つかの間の秋がきたぞと焦っては片手に文庫飛び乗る自転車
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半袖の 出番が終わり 今日からは 長袖デビュー 急に来た秋
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気が付けば 昼も食べてる 余裕なし 繁忙期には 一日一食
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雨が降る そんな風吹く 午後三時 コスモス揺れる 旧道の家
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重たいよ本当ホントにツンデレさんだなぁ先に眠るとすぐねるんだから
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