二十五を四捨五入して三十にして落ち込んだ二十四歳
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ストレスにさらされ芽吹く歌の日々「雷 × 椎茸」みたいな
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悪口を所かまわず言うやつの口から甘いガムの匂いが
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それとなく自信もあるが周囲見て恐る恐るでうまいこと言う
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意気込みはわかるんだけど君の手は温かいから寿司を握るな
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午後の部はさかなクンさんサンプラザ中野くんさんひぐち君さん
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記憶ない遠い親戚のじじいが俺のアフロをブロッコリーと
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今日こうして生きているのは死なないことを強行しているから
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難しい言葉は知らない。本読みに弊害。就寝時は年甲斐無くララバイ
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殊の外に生き辛く、言の葉紡ぐも相手にされず、泣き面いみじく
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何を着て歩けばいいかわからないここ数日は季節が迷子
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ゆっくりと吐くほうが先 みづからに言ひ聞かせつゝ五つ数へる
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辛いこと苦しいこともあったけどやっぱり君のことが好きだよ
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寒き冬高速徐行闇に浮かぶフェラーリ赤く熱波のよに燃ゆ
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本日未明に意味不明、これは私の存在証明
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さ迷う道断崖過ぎ行く対向車岩壁で待つ白い我が軽
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カラスがゴミ置き場を荒らすその光景はこの世界の縮小形
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私は柑橘が嫌いだった。あの子は柑橘の匂いを漂わせていた。好きになった
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自転車が重い荷物でよろめいた一寸先を突き抜ける車
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果てしない闇の向こうは分からない今も忘れぬあのクロスロード
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大学サボった。休む暇もなく僕を突き動かして時間を貪った
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自転車道横切る三毛猫しゃがみこむ動かぬ彫像しばし眺むる
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行先は楽しくないが片膝を 抱えて眠る夜行バス楽し
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果物屋 陳列目立つ レモンエロウ 匂ひを嗅げば カリフォルニア
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切れ欠けに 虫が集まる 街路灯 行く道来た道 照らし続ける
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ほとんどの歯医者の苦痛は助手さんの笑顔で薄れるこの世の不思議/歯石取り
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長月に 道がうるほひ 雨しぐれ あじにさひなし 恋しかな
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あかねさすむらさき草に寄る虫は 名をあてられて丸くなりをり
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カップ麺腹の底まで沁み渡る情けなくって嬉しいこんな夜
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蛇口から落ちてくる水てのひらにぬるくて秋はさらに深まる
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