海崖に荒波打つる東尋坊聴きしに勝る柱状節理
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諦めることも愛なの? そう、だから、YESの代わりに一緒に踊ろ
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天の雲 糸光るよう縫われてる 秋が終わって冬が来そうだ
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初宿の語らうことぞ楽しけり今宵は眠れぬ雪の宇奈月
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雪の街たはむる娘眺めつつ遠きかの日にタイムスリップ
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旅途中立ち寄りしあのさくら寺先逝くあなた納めし初秋
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寂しさをふところ深く包んでくれたあの日のあなた親鳥だった
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野仕事の夢中になりし時がいい汗流れ落ち憂い浄化す
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思い出は哀しからずや二人紀行心詠みすること楽しけり
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我よりも大きなクシャミするやうになりて小四花粉症四年目
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残像だと思ったか?  だが本物だ 残念だったな 俺もそう思う
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処暑の夜 芝生を照らす 街灯は やがてくる死を 世界に遂げる
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見えるかい? 雲の向こうに君を見つめる  髭面? それは俺だしまだ生きてる
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春陽にタイマンするは父墓前少女となりし月命日かな
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三年前降り立ちし街には桜あなた亡き街今年もさくら
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夕暮れのこの寂しさよいつまでか 今も身に添うあなた恋ひしき
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心はね 壊れる音が しないから  休ませ過ぎる くらいがよろ
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吾思われおもう 涼風一陣すずかぜいちじん 心地良し  細君さいくんう 少し寒いと
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元カレの残像拳ざんぞうけんはしぶとくて気配をかわす修行の日々よ
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果たせずに季節はめぐる『模様替え秋になったら直ぐにやるから』
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チロの墓を撫でる母さん 天国に私が行ったらすぐ駆けて来い
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I was born はなから受動なこの生を自分の足で歩けるだろうか
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漱石を教授に昔勧められ四行読むとまぶたが降りる
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30で終わらすはずの私小説なのに貴方を書き出していた
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腕に流れている錆び付いた血のカケラ 胸にはあの日からの夢
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ゴロゴロし糖質摂って酒も飲む理想と違う前日の自分
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汀には餌を食みつつ鴫四羽鳴き声近く三千里渡る
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「月が綺麗」とか遠回しに言わないで さっさと「愛してる」って言え!バカ!
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給料は雀の涙 家賃また値段あがりて 天井を見る
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ふわふわのタンクトップを着れるのはたぶん今だけすぐ寒くなる
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