じっと耳すませ 聴いてごらん 彼方から東風(こちかぜ)吹いて 春連れてくる
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「本当に好きなんですか?」時雨降る「それってただの同居人じゃん」
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もの言はず追ひ越してゆく息子の背ほのと匂ひて犬見まはせり
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隣人の訃報知らせるドアホンのひそやかに鳴り 春待つ夕べ
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正月の飾り片付け空いた場所 ちさき雛人形 ちょこんと鎮座す
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十三時過ぎて出られぬ布と布の間たまる重いぬくもり
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「冬が好きなんです冬に死んだから」夏に死ぬのも悪くはないよ
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樹木にも 変声期あり 春夏秋冬この地球(ほし)の歌奏でおり
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影伸びて 光たる街 目を細め 陽射し背に受け 本を読みたり
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去年より早く減っていくバスソルトの分だけ彼が暖かくなる
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姫は抱く傷をおいたる剣闘士 二人の肩に祝福の音を #りくりゅう
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あと一日ひとひ 辛抱せよと 如月の寒波を越ゆる 毛糸ニットと共に
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夏が来る捨ててあるような室外機 衣干すてふ 天の香具山 /持統天皇 2/100
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靴箱を 整理しスキマ 作ったら 空いた空間 心のゆとり
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頭がね珈琲飲んでズキンとね浮かんできたねピンピンコロリ
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子育ては ハラスメントに 似たるもの  受け手が決める 愛の正しさ
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寒九雨かんくあめ 此花このはな散らし 香誘こうさそう  濡れたるみきに 触れるてのひら
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吾を見つけ鴉寄り来る庭の隅「これはないしょ」とパンを分け合う
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みかん食べ 手を洗ってから ねこ撫でる みかんのかわはね ねこにはだめニャ
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一周忌の 積み団子を 丸めつつ 君の生きたき 時を想えり
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白内の手術を得れば明け暮れの皺のひとつの霽れに見えたり
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夜だけの日に一度から朝夜あさよるへ飲み始めました花粉症薬
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カフェオレと ランチパックのピーナッツ ランチパックたまごの無い朝
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「シンボルの 小さくなりし 副作用?」 医師否定して 恥かいただけ
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若きママ 携帯失くし あせり顔 幼子ふたりの 「ありがとう」沁み
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福豆の礼を装い手づからの小さき箱のチョコを呉れにき
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男にも女にもあるXの染色体を汝(な)は二つ持つ
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一煎目は君 ニ煎目はわれ ティーバッグ 一つをいつも分けて飲みにき
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恋心鎮め難かる夕暮れはスペアミントの茶を飲みにけり
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逢いたさに妹がり行けどわが心千々に乱れて行きつ戻りつ
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