この秋もひっそり萩が咲きました名曲喫茶は閉店しました
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ひとつだけ自己ピーアールあるとするなら綿棒だけを買いにコンビニに
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雨に濡れわが身ひとつの雨宿り芽吹く蕾の季節待ち侘び
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菩提寺は 潮の香りのする町に 風に吹かれて夕焼けの橋
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夕陽射す緋い教室二人きり君の呼吸が耳残り
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微風そよかぜに流され 頭上を掠める蜻蛉トンボ 秋晴れはいまだ残暑
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まだ人が死ぬことを知らない君は「ふほう」じゃなくて「とほう」って読む
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夜通しの 子の世話尽くし 明ける朝 誰より本気の 昼寝する母
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入口と出口の仕事猫と母これが大事だいなけりゃこまる
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初めてのアイスお前と半分こ 冷たく甘い幸せの味
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食べようと切ったキウイは痛んでた見た目じゃわからぬ人もあるなり
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猛暑でも 銀杏鈴なり 変らずに いつものペースで 黄葉も
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東西を矢弾のように往き来する人よりやはりあの空見上ぐ
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無知ばかり腹に抱えた芋虫は路上の葉っぱで羽根を作った
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目が合ったあの人だって大丈夫今日の私を忘れてください
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さよならを言えなかったな ただひとつ君への悔いがあるとしたなら
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優しさに救いを求めて沈む日々いつかを夢見て彷徨いながら
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黄色い蝶 ひらりふわりと まつわりて 月の化身か 星のしずくか
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夕方に 散歩に出られる嬉しさよ 秋の空気を肌に感じて
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苦しみはおのれの膿からやって来る出し切れまだだ何とか耐えろ
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試着室前で待つ我中にいる我もいずれは脱ぎ捨てられる
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「日常」の漢字の一番下で名も知らぬ誰かが首吊りしてる
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君に言う 言葉は全部 僕の愛 それが心に 届かなくても
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コーヒーが 飲めない君の ままでいて 一人で先に 進まないでよ
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褐色の素描でのこす横顔は百年先できみと出会うよ
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体温を押し付けるだけの抱擁に幽霊ゆらゆらゆらゆれる
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ノンアルの ビール片手に 歌捻る 秋の夜長の 予行演習
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彼岸入りどこから来たか赤トンボ 秋を運んで四階ベランダ
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だからさぁ別れは嫌だって言ってんじゃん私の前から誰もいなくならないで
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川上に風は向かえり風のに飛ぶとんぼらは風に向かえり
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