名月の淡き光の庭にいて シュウメイギクの白の優しき
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霧のふる夜明けのまちに浮き上がる赤信号のけぶる道なり
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(中編)実習時 背を叩き我 励ましを くれた指導者 今でも感謝  
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いいよなお前悩みなんてないだろって言われた今日の晩飯は寿司
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短歌うたの師の「パソコン不調!」に安堵せり。老いらの集ふ歌会なれば
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寝転びて窓より四角の空眺む高き青空秋を語りぬ
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(前編) 重複じゅうふくを 重複ちょうふくと言い 誤薬した 彼女の語彙が 少し嬉しい 
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苅田から 乾いた藁の匂い来て コンバインの音ゴーゴーと唸る 
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透明度 マウスで調整 していると なかなかキリの 良い数にならん
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朝焼けは 静かにあけて まだ眠る 街並みをそっと 優しくつつむ  
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2時過ぎてゲーム実況チャンネルを1万人と1人で見てる
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黒電話包む革製用品のあった世界のその続きの生
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気よ鎮め息子のくれたアロマ水ゆっくり休めと言われてるよう
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仲のいい 幼馴染みに 目もくれず 俺は走った 高嶺の花に
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調香が絶妙だから主張しない美郷雪花の香りやさしい
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だらだらと ふたりですごすの 好きだけど 結婚も離婚も 一発で決め
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夜が来た開けたカーテンからどうぞ眠れないのはお互いさまか
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ベランダの室外機の上が凹んでる!泥棒さんの足型みたい
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月と夜と海の歪な均衡を 誰が真っ先に破るだろうか
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ブランコが揺れた気がした帰り道ふと振り返る静かな公園
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愛されることとはなあに、引き出しに入ってないしまだ習ってない
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アガペーを逸脱しなきゃ君が為 どこにも行くなと言えますように
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マスクなど宇宙の果てまで飛んでいけ空気の味はテイスティングで
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風呂上がり濡髪のままあなたの膝へベリーショートの利点の一つ
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美味くないピーナツバターの食い方がわかれば自分も変わる気がする
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母さんのようには行かぬオムライスケチャップはもっと煮詰めるらしい
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コミュ力を育てた五人家族かなケンカもしたがその甲斐もあり
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名月が雲の彼方にあるのかと無駄と知りつつ空を見上げる
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人々はそこがカラオケじゃなくても歌う行為が許されてるのに
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こだわりを、癖を、「らしさ」を、失って まっさらになって目を閉じたひと
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