小さめの手提げ片手に 一枚のはだかの紙幣持ち コンビニへ
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煙草の火 焦げて縮れた前の髪 荼毘に付される 匂いはこんな
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夢破れ 夢も忘れた海琥珀シーアンバー 流れる先も 判らないまま
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長く伸びた 玉のれんを手でかき上げて この世界はまだ 鮮やかと知る
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月イチで 不調確約 されてる日 心身過敏 自分をセーブ
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詠むことが 心救いし 短歌うたなれど 読み返しては 胸つまりぬる
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そりゃそうか家族とお出かけするよりも 友達と遊ぶ方がいいよな
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はなわ君みたいな寝癖つけて君 玄関出て行く金曜の朝
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永ちゃんの鼻唄歌う父真似て 君が輪唱「ウィスキーコーク」
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忘れ物したらペンで手の甲にえがく癖一日で消える戒めのタトゥー
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氷上でが物顔のアザラシは冬の日差しを贅沢に浴び
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星が爆発する速度できみに 永遠にもおもえるほどに
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願わくば星座になりたい今日という光にいつか名前をください
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お互いに 亡くしし犬猫ともを 語り合う 心癒せし 大切な時間とき
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少食ゆえに「麺少なめで」 不要と言えない 代わりに乗った優しさのチャーシュー
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仏壇に選手名鑑五冊目で父は天から野球観戦
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半月夜 羅生門にぞ 変化へんげ出づ 弦満月に 太郎八幡(腹減った、どだっ折句?)
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氷雨降り 心と体 てついて 少しぬくめの 春雨を待つ
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用事済み どら焼きホイップあんこなど頬張り 蒼空見上げ爽快
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よわきもの 狙われる世は嘆かわし 銀行帰りはヘルプマーク隠す
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君とありしときはあれどもふと思ひ悲ひおもひて逢ひて来たし
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よるさへや嘆きの霧としのぶれど異しき心を我が思はなくに
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我が心燃ゆる思ひはしのぶれど憂きを帯ひゆくかたもなし
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色見えふうつろかふるはふゆきこひ忘れよへと月にながひし
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告げられた飲み放題の延長を 氷の溶けきる梅酒で押し切る
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誰しもが私に興味ないのでしょう グラスの汗を拭くだけの時間
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存在は神の造作かあらざるかあたかもプログラムされた虫
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希死念慮 聞こえるかこれがナッツ食む バリボリおんだ生きてる音だ
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猫ちゃんがカリカリを食らう顔付きで ミックスナッツを齧る吉日
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パパに告ぐ ママの機嫌を治すには 静かな場所と一人の時間
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