ため息をいくつついても減らぬ雪 彼岸の入りの桜の便り
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憂鬱な朝のちいさな楽しみはシリアル入れた甘い牛乳
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おみやげのヨックモックを持ち帰り割れてなかった今日はいい日だ
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子規の母の「しかたがない」とふ言葉 しかたがないと聞くほかはなし
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耶蘇教の墓の下にぞ父埋めて 法事要らぬと母便利がり
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前を向け愛しているから前を向け 泣かないでほしい知らないでほしい
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アイロンの熱を味方になじませて 未来の僕に会いに行く朝/明日はOB訪問
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子規の母の「彼岸の入に寒いのは毎年よ」とふ言やむべなる
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食べたもの余さず日記に遺すこと 仰臥漫録読みし頃より
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墓仕舞うおのこかいな休めるは仏法僧か 裏高尾、春
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春だから溶けちゃう前にポチらなきゃ 雪女わたしに似合う最新クーラー
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堅豆腐ぬり箸で追ふ昆布の湯 弥生半ばの桜咲く前
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人工の光は温度下げてゆく田舎の夜が温かいわけ
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君のそのグリーンの瞳カラコンとわかっていても惹きつけられる
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春ならば暖房つけず過ごそうも抗えなくなる二十一時に
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耳遠く 夫婦の会話 ままならず 別の部屋にて テレビと話す
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妹から「居酒屋予約完了」と 早も心は十勝へ飛びぬ /明後日から
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他人のこと どうのこうのと いう前に 自分のことを 棚に上げとこ
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トランプが 軍隊持てと 言うのなら 進軍ラッパの 復活日本
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歳降れば 冥土の宝 多くなる 地に於かれては ごみ屋敷なり
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なんだろう 日本人は 金持ちに なってしまった ガソリン値上げ
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「しんぢまえ」と画面の俳優に言われやり方を知らないぼくが立つている
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最高齢 下駄箱登り 紙を張り 男だからと ただそれだけで
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ひとに言えないことばかり降り積もる(世界を壊すあなたを見たい)
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あの夏のミニスカートのポケットのいちごみるくのキャンディの殻
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誰も彼も敵に思えて身構えるそんな自分が一番の敵
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あのころはもっとぴかぴかで大きいと思っていたのタイムカプセル
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「カエルの歌」トントントトトントンと娘が奏でる休日の朝
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自殺者が部屋の窓開く静寂は町を縁取る街灯照らす
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灰皿を捨てたら二度とあの人が来ない気がしてそのままにする
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