またひとつ眠れぬ夜を跳び越えて 何を描こう白んだ空に
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吟行に来た人だろか城見上げペンを走らす肩濡れしまま
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如月の 南の空に朧月 光のどけき静寂を照らす 
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老人が古いラジオを整備するユーチューブ見てハンダごて出す
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ため息の池沼ちしょうに墜ちる曇り空 眠りにつこう晴れとなるまで
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寒暖差睡眠不足低気圧 爆喜びも嘘かもしれない
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長風呂で半身だけを浸ける日々 これで人魚になればいいけど
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愛妻の 弁当みると ごちそうだ 君の子供 になった夢見る
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レールから外れたひとがえらいってレールが今は主要の路線
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世の中はままならないねそう言った先輩が住むタワーマンション
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無理をするそれは自分を壊すこと強くなっても汚くなるな
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君の声 聞こえてきてた はずなのに 無声映画の 我ら俳優
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復帰する。君は無理していないのか?リタイアするのは恥じなくていい
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しばらくは泣かずに生きてゆく 明日も悲しい歌を寝る前に聴く
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さよならの温度を測る まだ少し君の香りと面影がある
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夜の海の鯨と人魚の逢引きをじっと見ている人工衛星
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春風の通り道に立つ警官がつま先に落ちた綿毛に気づく
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愛人と大統領が別れた夜ミサイル発射基地に降る雨
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人間は普通は耳が二つだけ だから私とあなたは特別
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休み前 やりたいことと 睡眠を 天秤にかけ 寝支度はじめ
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不覚にもパソコン分の荷が増すも 貴方に会いに北に行きます
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冷房の試運転をとテレビは言うヒーターしまってもう大丈夫か
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読み終えたドグラ・マグラの文庫閉じさて休日の午後は出かける
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導きの手さえ来ないとく君に何と声をかければ良いか
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きみ去りし 学び舎に花一輪の、想いは今更 えやみぐさ手に
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濡れた道黒い雲間クモマに光射すふと気持ちさえ明るく変わり
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たらちねと言われて意味も分からずにジッと見つめる教科書の隅
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かぶる水キラキラとした粒落ちて光るプールの水面ミナモが揺れる
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指先に触れた光が広がって――、心の中になにをもたらす?
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来週は熱中症のアラートも始まるという春は短し
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