じゃないほうの国に満月がのぼるときじゃないじゃないほうの国になる
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明け方の俄雨にわかあめ ふと目が醒めて 夢から醒めて 消ゆる面影
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春の味 ツクシが少し薄味だ たぶん私の味覚が老いた
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チビ猫は さむかったらし 一晩中 腕枕にて暖をとってた
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オフロにて Adoちゃん「唱」を口ずさむ ラップのとこが心もとない
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夜を泳ぐ魚にはなれないけど私の中で海は脈打つ
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苛立てる妻の我が身に覚えなし 夜来の風雨 ツツジの落花
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「いるだけで安心される先輩ひとになれ」やめてよそんな、遺言みたいに
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清らかな川に積もりしチリ見つめ 濁っておりとあさましきこと
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ある意味では天皇陛下と同じかも 上司という象徴みたいな
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よく似合うオレンジドットのネクタイが やけに寂しい 最終出勤日
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縁側で 南の光 浴びながら ボ〜としている 至福のひと時
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政治家は 嘘八百を つき通す 大衆騙され いつか真実に
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夕飯が 待ち切れなくて カップ麺 なんであんなに 腹減ってたのかな
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でしゃばりは どの組織でも 存在する 引っ込み思案と バランス取ってる
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冬なんてさっさと洗って終わりたい連休目処めどと思いつつなお/冬物上着
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バスを待つ空から響く白鳥の北帰行するヴィクトリーの列
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側溝の 流るる水を はねるに 魚影揺らいで 春の天つ風
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桜散り穴あけパンチの抜きカスもこぼれておちる火曜日の朝
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あまりにも外の気温が春すぎて今日が私の命日だった
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春過ぎてめぶく命に散る命張り巡らせるゴキブリの罠
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十五分早く出るなら先に云え寝癖を直しながらの小言
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三人で日曜休むシステムが年中無休一人に変わり
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九十歳たおれた兄を継ぐ人は我が父よりも二歳年上
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東証の乱高下する棒グラフ横山大観『不二』が見上げる
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風呂の子に二十かぞえる指示だせばうんこ、うんこ・・・とたしかに二十
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花散れば青葉の枝に紛れ入りて今は友ある高砂の松
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東路あづまぢへ春の過ぎゆく足跡あとなれや青葉に辿る志賀の山越
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制服を着るとはやりを身につけるとなぜか美醜がより際立つ
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日本人 いつまでたっても 日本人 全体主義の 教条主義者
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