春一番 東北では言わないんだって 一年中 春のような君に教わる 
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椿匂ふ路上に吾は君思ふうつくしきかなそらの青色
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あのひとの両目を覆う手のひらがこんなに大きくなっていました
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さよならを言えないようにくちづけをその唇に上書きさせて
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花冷えというには花が足りなくて冬の中にて思い出す、ふゆ
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あと一年学生のうちにできること 映画も旅行も全部やるぞ
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五億年前海だったゆえにまだ音も匂いもしない教室
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身の垢をすすぐ思ひや水清き川辺に咲きぬ菜の花の色
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まえあしをいつも布団から出すきみがまんまるになる気温は五度
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野良猫が声に振り向きじっくりと吾の顔見て立ち去りにけり
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時間との 戦い疲れ 深呼吸 耳を澄ませば 心臓の音
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昔話おはなしに タヌキやきつね 常連で 僧侶にお化け 竜も飛ぶ
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女なら化け物くらい飼い慣らせ 何のためにリップを引くわけ?
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スマホにて 子どもの頃に 親しんだ 「まんが日本昔話」視聴
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海原を背にしてそびゆロケットは潮もかないぬいざ宇宙へと
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北海道いちごのサワーが飲みたいな ねこもくたびれ 母もくたびれ
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この都会まちに 溢れる愛を 夕立は ただ見ていたよ 見つめていたよ
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初恋を 想えばそこに あった夏 心はいつも あの頃のまま
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独り占め するには 広すぎた心 誰の胸にも 抱けない心
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さきにほふ やまの山茶つばきにあぢさはふ 繍眼兒めじろすす花蜜はなのみつかな
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カラーパープル 余韻残りし映画観る 自分に、痛みに、強し女は
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明日からなんて話はおいといて 今日は私とビール飲もうよ
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ここ白髪 あっ、ここにもと目を凝らす 老いの予兆に気を引き締めて
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「絶版」の文字に寂しくなってすぐ「電子版」へのリンク ときめく
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生きたいと誰かのために何かして 思い叶えた結局家族
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イチゴ狩り予約は何時にランチどこ?能天気なる平和な悩み
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節電の私の言葉に気を遣い 電気つけずに脳トレする母
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無防備な欠伸の数だけ近くなり だんだん家族になれた気がして
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四歳と春の赤ちゃん探した日 散歩の午後に降る光あり
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ももの色したきみのやわらかな耳がぴくりと動いておおきな欠伸
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