雪残る田の水うつす落つるあけに輪をき鳥は飛び去り
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あなたとの日々が終わったのではなく在ったのだから笑おうと思う。
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観客が「長すぎる」って笑うよな、エンドロールが来ない恋を君に
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毎日の薬を何錠飲むかより 散歩の行き先迷ってたいわけ
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かせのない翼を得たはずなのに「飛べ」とだれかに押される背中
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なみだ河いつかの契りは流れゆきただありあけの月のみぞ澄む
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君のこと画面越ししか知らなくてでも愛しくてこの距離感
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忘れたら その日が変わり 失くしたら 予定も機種も まるごと変わる
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踏み惑へ わが生涯の 黒き森 行方しらねば 今ぞ愉しき
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好きなことほんとに好きでいたいから嫌いなことを百個作った
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どれこれも対象外のCMと思いつ見てる淋しきテレビ
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「福祉課を移動の辞令が来た時は後任連れてまた来ますから」
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終わりなどありふれていて必然で何時になるのかわからないもの
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他生徒の「模範」だってさ。食べかけの弁当でさえ腐らす私が。
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すするとき、手首の相棒 不在中。髪を結べず、一緒に食べる。
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こわがりで「ずっと好き」とは言えずとも 幸せ願う気持ちは永遠とわ
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変わらない温度のままの指先で 「ばかだったな」と言われたかった
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肉体がこころのサイズと合ってきてすこし表皮が余ってきてさ
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富士の山 疲れ忘るる 威厳あり 吉原に急ぐ 旅人の脚
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歌うなら できる限りの 出鱈目を 三分間だけ 独裁者になる
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この歌を 聴いた奴は 絶対に 死ぬらしいよ 百年以内に
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もし僕が明日死んだらどうしよう きみの涙は何色だろう
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初々しうれしはずかし初短歌はつうたを誰に告るかもじもじののじ
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キャンバスに 足跡つけて 君想ふ 指でなぞれば 温もり感ず
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演出が 熱いと君が 言ったから 7月7日は パチンコ記念日
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食卓の摘み菜の緑冴え冴えし畑に残さる黄花も笑まう
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春を探しに出かけてみよう いつもより歩いた先にトランプが来る
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うたかたに気持ちの分かる歌あれば グループラインで拍手のスタンプ押すが如し
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旅の空羨ましくも帰るなり雲居のよそに聞きしかりがね
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コットンの細糸で編むピアノカバー老眼鏡めがねの度数コンマ5上げて
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