寂しさの膨れ上がってくる夜も毎日のこと呼吸と一緒
1
左手の全ての爪が割れているギターを弾くにも削れる命
1
ベゴニアを飼いはじめたよ見においでレンジの上のアマゾン島を
3
吹雪いてる 海に向かって 叫んでる 嬉し恥ずかし 波よさらって
7
キーウから孤児の一人や二人など家で良ければ母となりたい
7
華やいだ街並み遠く静かなるこの世で戦火に追われようなど
5
駅を背に歩き始めた僕の上 さえ〴〵光る四日目の月
12
ビスケット 食べかけのまま 不意打ちの キスをしようよ 月の満ち欠け
11
わが町が 髷と雪駄に 華やいで こころ湧き立つ 季節訪れ
8
青春に卒業試験あるのなら何度も留年くり返すね
9
四十九日 母 玄関から来たりしは ビビリの娘を心配してか
7
「成人誌のような営みなんてゴミ」君の気持ちがよくわからない
4
風呂場にて腹に落ちたるコンディショナー思い出したあの日の白濁
5
探偵を尻目に不敵な笑い声残して闇に消える怪人
2
恋叶うハートのリップのおまじない まだ叶わないもうなくなるよ
3
もふもふに 生まれ変わって 君の膝 独占できる 暮らしもいいな
25
「離さない」君は甘くささやくも うつつに戻って苦く笑う
7
いつまでも 君の残像 探しては いないと分かる いつもの日常パターン
4
あの人の 余命宣告 伝え聞き 電話を全部 壊そうと思う
2
臘梅のごとき黄色をひとすくい熱いスウプに浮かべたりする
2
いつの日かまた逢うこともあるでしょうそのときまでは振り返らずに
9
強烈に自己主張して酸っぱいとしぶくコオヒイそいつ飲みたい
3
泣けてくる落ち着きのないうちの子が発表会でちゃんとしている
16
誰からも愛されぬなら誰よりも愛した事は隠しておこう
18
ホットチョコそれはココアと違うんか?沸いたミルクにチョコってこれか!
3
臘梅の黄色のごとく透き通る君の心をうらやんでいる
4
バレンタイン手作り贈り自分へと甘い香りにひたる金曜
4
骨髄より浮いた脂を嘗めてみて豚舎を渡る風はさまよう
2
背が高いだけならそれでいいけれどそれで済むなら金はいらない
1
気だるさが俺の好みの路上歌手ライブ探して街を彷徨さまよ
5