劇的な出会いは決して多くない、気づかないだけ多分それだけ
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東京は風の香りがしないなどと言う母の背はまるで小さい
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「幸せ」と云うより寧ろ「しあわせ」な手の温もりはひらがなのそれ
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ハーモニカ吹けば吹くほど下手くそになる気がするね跳ねるかわせみ
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すきとおる指先にまた蝶々が羽根を落としてふらふらと飛ぶ
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生活の一部のように花を買いひとりで歩けるきみがきらいだ
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笑い皺見て「好きだな」って落ちちゃって脊髄反射の「嘘ですよ嘘」
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つらいことやめてもいいかな犬に聞くまっすぐな目が応えてくれた
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茜さす 影で遊んだ子供時代 今は疲れる 満員電車
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青の街 葉よ舞い踊れ 雨降りそうな雲をたたえて
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母と住む実家暮らしは近くにさコンビニ無いから自炊捗る
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さっきまで「わたくし」だった髪一本 ちろちろ身体をなぞってバイバイ
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花手折る君はその名を知らぬまま 青く澄みゆく光の中を
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痛かった寒かったとか簡単に忘れてしまう葦の芽は伸び
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ホイップをシフォンケーキに乗せるようそっとそうっと小指に触れた
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ショッピングモールの明かり眺めつつリボンをきつく結び直した
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鳥ならば飛び立ちなまし世のなかのはなしの接ぎ穂見いだしかねて
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誰かしら傷ついていてもヘラヘラしてる 慣れちまったんだなぁ、おまえ
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レモンサワー搾った後の手の匂いみたいな淡い恋をしたい
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はじまりの日だった昨日のことばをまた一年間抱えて生きます
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目をふさぎ耳を閉じたら寝られるはずテントの外で鵺なく夜でも
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街角のベンチ剥がれた靴底を着ける瞬間接着剤で
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赤信号渡っちゃおうよ大丈夫轢かれる前に青になるから
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願わくば淡い薄紫色の花束のような人でありたい
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令和前ワンチャンあると腕まくり帰ってきましたノストラダムス
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うつくしきことしか言はぬ人びとに倦みたる果ての若楓かな
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明日からあなたを忘れてしまうくらい自分を愛して生きてゆきます
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泣いていた、全身麻酔の夢の中あなたを置いて覚めてしまった
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一瞬の風の音さえ美しい青葉駆け抜け今会いに行くよ
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しっとりとチーズ蒸しパン噛みしめて優しい人に戻る夕暮れ
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