しっとりとチーズ蒸しパン噛みしめて優しい人に戻る夕暮れ
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おめでとうその一言で救われます今日という日の祝福でした
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ちうりっぷ並び並びてきれいだな赤白黄色ではないけれど
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この世には真っ赤なものと真っ赤ではないものだけがあるの。夕暮れ
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マッサージされながらする脳に至る寄生虫もいる話など
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「ともだち」がホントの友とは限らないからぼくは踊って月にいきます
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文句すら出なくなったらおしまいだ それは独裁スイッチだから
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ゆうびんを受け取りなさい 今日にでもお前の元に届く頃合い
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真夜中にそっと置かれた撒き菱が チクチク刺さる昼の月光
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戦況を報告せよと声がする ”コンジョウマガリ”があらわれる時
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読み進む歌集に茂る黄の付箋肌の匂いがする歌が好き
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母がもしおれを愛していたならば そう思わずにおれない今日だ
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洗顔料、湿布、酎ハイ、肉体のこわばり溶かす酸っぱい香り
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聖堂の床はがれきにおほはれて聖金曜日のいばらのかむり
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芯のない鉛筆を折る、にくしみは愛につながるランドルト環
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くつくつと煮える豚汁 終電を逃した方が良かったかしら
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眠ろうかバターロールにくるまってそして誰かにかじられようよ
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ニ時間の映画のようなクラス会 米寿の恩師に古希の教え子
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無表情 ティッシュ配りをシカトしてあとから気づく鼻のむずむず
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日本すごい子ども食堂ある不思議 企業が太り子どもが痩せる
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目を閉じ平静にして三十年みそとしを 開眼大仏の冷厳にしてのどか
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太陽熱温水器から出るお湯で洗うコップに乾期の日射し
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花桐に紫煙吹きかけベランダで 春の残り香探す曇天
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雨降る街傘をもたないルリタテハ舞えぬ恨みを込めたまご産む
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星で会う 指に巻いてる絆創膏はがせば光流れて落ちる
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晴れの日に雨傘ひとつ手に取って呪いの本をそおっとひらく
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チップスに砂糖さらさらこぼしたらわたしも白に染まれるかしら
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桃色の花弁が隠しているうちにだれにも送らぬスタンプを買う
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遁世のこころざしふときざすとき春たけなはに花も葉桜
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マッチまでぽきりと折れる水槽のネオンテトラが眩しい夜に
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