進んでも退いても「普通」に殺される どうにか生きていける道がほしい
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いつの日かぼくも死んだりするんだろう そのとき死因は「普通」だと思う
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今日もまた「普通」で殴られちゃったんだ 友達だからすっごくつらい
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久々に心底ほしいと思ったのに本屋には置いてなかった
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もう会えぬ人が降り立つ駅の名と同じ名の駅ふと立ち寄りぬ
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約束は藍色なりきさゆりばの知られぬ恋ぞ淵となりぬる
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子をやどすひとの象形と知りしより身といふ文字をつつしみてかく
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いつだって探しているの この恋を諦めるための綺麗な建前
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ミスタイプ繰り返してはカプチーノ何度も空にする溺れたい
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なめらかなシルクのような人でした、糸を紡いだ誰かは悪魔
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わたしだけの秘密なんだよ恋人のボクサーパンツがピンクだなんて
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まつたくのまの字略して発音するやうな人にはなりたくもなく
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この薔薇の棘はなんだか柔らかい傷つきたくて刺しているのに
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あさまだきまだあたたかき麺麭を買ふカルチエラタンのしきいしのうへ
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世のなべてうつろふものはかりそめの比喩にすぎぬとゲーテはいへり
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こんなにも君が素敵でばかなのをいつか忘れてしまう風の日
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豊頰をほのかにそめてをとめらのいでたつ野辺にみどりもえいづ
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人生はソシャゲだと知り目を閉じてリセマラなしの恋人ガチャを
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きみをみるのがすきでした夕色の来るはずだった明日がほしい
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天邪鬼として生まれたからには運命にさえ逆らってやるよ
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時じくの雪ぞふりけるこまとめて袖うちはらふはるのゆふぐれ
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この時期は意外と薄手のダウンがグー暖かかった日帰り旅行
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重力にさからつて跳ぶ日々あつく陸上男子の夏のたけなは
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老犬は襁褓むつきをはいて仔にかえる 私もやがて子どもにかえる
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あまりにも早すぎた別れだと思ったよどうしてあった隠し事
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笑うときこぼれた息の音などを春の空気としておぼえてる
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あの黒い宇宙の最果てまで泳ごう終わりの始まり一緒に帰ろう
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その麻酔を吸ってしまえば最後だよ、明日から君は君じゃない君
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日に一度ひづめもかるくかけりくる郵便馬車を待ちがてにして
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緞帳で仕切られたよう手術室前の祈りは祈りで終わる
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