新幹線 一期一会の 乗客の 心触れ合う 真夏の一夜
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さよならも 言わずに消えた 雑踏に 君の名前も 知らないままに
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新幹線 立ってる客を 座らせて 顔を摺り寄せ 人生語る
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新幹線 遅れてみたら 午前様 特急料金 時間を返せ
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お通夜さえ 笑いが漏れる 関西の 兄弟姉妹 久しぶりやな
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干からびた 死体となりて 横たわる 母を拝みて 明日は我が身
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夕焼けは 陽が落ちてこそ 輝きて 幸せ満ちる 時の静寂に
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教授とか 会長とかも 年取れば ただの老人 思い出話し
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幸せは こんなとこにも 落ちている 失ってみて わかることあり
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草叢に 片手ツッコミ 弄れば 丸いスイカや いぼいぼゴーヤ
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妻からの 指摘煩く 反論す 偶には良しと 我は納得
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女性兵 負傷しながら 前線に 戻る姿が まぶたに残る
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倒産し 退職金の ミシンにて 再起を図り 信頼の輪が
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「ツーブロはやめたんですね」 微笑んで「大人だからね」嘘をつく君
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はやばやと ねこがベッドでまっている ねこ母ソワソワ 寝支度いそぐ
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僕の名前覚えてないと思ってた 何度も呼んでよ、駆けてゆくから
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返信が  思ったよりも早くきて  心が踊る  週末に向け
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Gたちを  時々見かけるようになり  ホウ酸団子をたくさん置いた
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剃刀の目つき、水桃の指先  牛乳ミルクのような冷たい優しさ
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残生を決めた自由は感じ出す足裏に来る床反力を
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あんなにも追いかけていた神の名をもう忘れてしまったのでしょう
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眠れぬ夜  一人寝床に横たわり  雨音を聞き  こころなぐさめ
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おトイレの  電球切れた  今朝急に  替えの電球なくて真っ暗
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猫たちが 夏草の上 戯れり 目で追う先に 初秋のトンボ
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夕闇に 伸びたる影も くたびれて 秋を呼び込む つくつく法師
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回線は100kbpsキロあまり  尋ねては月面からの応答を待つ 
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熱帯夜窓の外では虫が鳴く暦の上では秋だけれど
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お店からもれた冷気か秋風か 朝の散歩の足やや軽く
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確実に季節は前に進んでく 夕闇から涼しき虫の
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わたくしは不二家のレモンスカッシュをつむじ曲がりであるゆゑ欲す
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