健康を 愛する人は 節制し やけを起こせば 自虐に走る
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空白の 時をなんとか 埋めようと がらくた詰めて 悪臭放つ
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マドンナを 探し歩いて 幾千里 脆き理想は 残酷なりき
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片思い 無駄に重ねて まだ懲りず 病気の名前 調べてほしい
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いいことも 悪いことさえ 起こる世の 命恋しい 欲望深し
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業深き 人は命に 拘りて 罪を抱きて 心中したり
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目や鼻や 喉もいかれて 薬にて だましだましの 劣化の一途
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暗闇に 明るく光る 物体は 世界を映す PC画面
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深夜にて 眠る人々 多けれど 煩悩深き 故に眠れず
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音楽も絵画も宇宙も愛せるが自分自身は愛せないまま
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月光は天の川なる漿なれば生まれたてのさかに吐き出す
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個体というファイルに無理に綴じられた一貫性のない私たち
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リビングの高温多湿に出しっぱの愛の形がとろけて大変
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真夜中に捨てた花束 わたしより綺麗に咲くのが許せなかった
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真夜中のラーメン旨し この夏の罪数えては両手を合わせ
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道の駅 寂れた店の芋餅と 山霧に咲く刺青姿
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想定の三分前に電車発つ今日は土曜と気付く昼下がり
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カントリーマアム小さくなったよねって遮断桿がしなるのを見てた
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丁寧に暮らせなかった窓辺にはからっぽのまま佇む花瓶
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期待して 振られ振られて 落胆し これが現実 思い知らされ
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欲望や恨み彩る新聞も今はカブトや窓拭きとなる
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野の中のピアノ風に流されてドが弾きたかった葉っぱひとひら
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せせらぎにツクツクボウシタンドラム奏でる人の足裏すが
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LEDの光は少し強すぎて閉じた瞼の奥行き深し
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台風の雨風叩く窓の音コロナの秋がまだ叩いてる
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この季節 この肌寒さ 空の色 条件揃ってハウリング
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直青の空に手を伸ばす 明日には君も一歳父母も一歳
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いまのうち隠しておこう哀しみは夜の暗がりブラックホール
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金色の蝶はリボンをたずさえてページの森を舞っております
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歩くほど遠く感じる「あの場所」は本当は無い理想の死に場
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