本の文字だけはあたしを裏切らない 孤独かどうかは紙のみぞ知る
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返信を待つ時間飛ばすために寝る リロードのない恋愛ゲーム
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あの夏でわたしの熱量とけちゃって もぬけの殻でまぬけなままだ
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賞味期限間近のチーズを食べきって 霜月が去る 師走は駆け足
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好きなのか嫌いなのかと聞かれたら嫌いじゃないってだけの君、好き
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下駄箱で夜中に靴らお喋りす「明日あす休みたい」「僕も」「私も」
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デート場所は憧れだった水族館 魚と魚だったふたりは
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変わらない 日々繰り返す 私は 味の変わらぬ イカ墨パスタ
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飲み会とかそういうものが終わると急に世界の悪意に繊細になる
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ビル街のタワークレーンが狭い空を衝きやぶり向かい合っている
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霜月の三十日に産まれた息子暦を破る事にためらう
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じっとして過ごせば気持ち沈みがち 動いて歩いて風に吹かれて
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去年より忘れることを得意とす かれいに生きて結露をふいて
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覆水は二度と盆には返らない 君はとっくに人生だった
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取り入れのおおかた済みしオホーツクの広がる沃野に丹頂の立つ
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死んじゃった夢から覚めてほっとして鏡を見たら目を閉じた顔
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ステップを踏みたくなって今日もまた文字の海中わたなか躍るスカート
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一日にりんご1個で医者いらず 一食分だとお腹いっぱい(笑)
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朝食は いっとう好きな青りんご ぐんま名月 今が旬かな>安かった
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一心不乱熱々うどんを平らげるこの集中力を他で出せたら
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「人生は歩いてこない」 進みゆく泥跳ね上げてもアスファルトでも
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こちとらは年越し餅代悩むぞと国会中継聴きいきどお
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愛し子と別れた朝は冷えびえと身体を無くした錯覚に落ちる
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肩落とし がっかりしてる 時じゃない 仕事を探し 日銭を稼げ
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青春を一人マウスで済ませると四年後僕かアパートが「空」
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有名に なりたいならば 才能を 持てねばならぬ 無理な相談
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悪の華 咲かせる勇気 まるでなく 善人にさえ 届かぬ事実
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激しくも 惨めな時期を 過ごせども 平々凡々 終わりは近い
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億という 人が暮らせば ひとりずつ 幸せ違い 望みも違う
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大抵は 細やかにして 凡庸な 幸せ感じ まとまりがつく
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