夜十時、電車のボックス席の隅、忘れられてた漱石の『門』。
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指先が なぞる体温 ハンコさえ あればあなたは 私を抱くの?
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懐かしい匂いが頬を掠めたら 絡まった心が恋になる
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階段を駆け上がる音タントンタン 孫の背に乗り 春は音連れ
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出る出ないこれで9条改正はないのだろうと思う言い訳
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チェインソーまたさくらんぼ切る音と思えば柿の木の刻まれて
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ドヤ顔で鬼のパンツと言うけれど ため息つかれたフニクリ・フニクラ
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鶯のひと声乗せて花筏ゆらりゆらりと桜餅ひとつ
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あなたから連絡ないままもう二時だ。そりゃそうだけど、そりゃそうだけど。
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日溜まりのベンチに座りうたた寝し 目覚めぬままに逝けるものかは
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くれば チャンチャンで 済むことと そうはいかない こととあるもの
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引き連れし  春の陽光ひかりに  雪解けて  あか絨毯じゅうたん  冬椿ふゆつばきかな
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3時間2万歩歩いて消費した 脂肪はたったの82グラム
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先輩はマンガ喫茶かサボりつつ結果出すのがプロだと言って
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番犬が吠えぬわたしの存在感世界の中心この先ですか?
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春の朝眠い眠いと目を覚ます俺は元気だ俺は元気だ
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長い冬 耐えて開きし野辺の花 なんと可憐で愛しき生命いのち
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アウターの人半袖の女性ひともいて横浜は今春の入り口
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桜咲き桜散る狭間を愛でる日本にはそんな四季ありて
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断捨離を苦手としてる私には執着というガムが付いてる
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ためらわず捨てる人には未来への目標がある証拠だそうだ
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ベートーヴェンのソナタ流るる春の日にきっと僕らは目線合ひ
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生まれつきひねくれている梅の木よ 蛇になるわわたし這うわ
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胎内に揺蕩う水はほのあかり ひとつに揺れて春を見ている
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席替えで窓の近くはなれないの 空ばかり見ちゃダメなんだって
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Reach for me 桜貝拾う 染むる指先 Ripple ever cherry 私に触れて
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菜の花や 真宵まよい飲み干す 黄の波に
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過ぎし日に 土筆の袴 子らと剥ぎ 湯がいて食した春の味わい
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玄関先で 靴揃え 来たる春への 足並み揃え
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もうやめろ 母とか犬とか海だとかあの日の彼女を思い出すのを
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