道を知るために幾つ詠みにける 如何程澄みぬるワレが心は
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買い出しを終えて篭もれる吾が部屋のパソコンの前で歌を練り出す
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こころより睦まじかるべき人もがな 同じ桜をともに見まほし
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だだこねてわめく少女の号泣にせむかたなくて心苦しき
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公園でお姉様をからかう子等 みるみる赤いの私だけ追うの
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本牧の涙もしとどの往日は妬心と捨てましょ 百舟ももふねの泡
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雨だなあ 夜はカレーにでもするか 明日のごはんも炊かなくちゃなあ
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渋谷では茶道の心得あるひとが流行ってほしい ねえお茶しない
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聖夜には列なす恋人たちにむけ枯れたサボテン配りあるいた
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れつをなす野良ねこたちのゆく先に世界の終わりがある気もする
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夜夜中よるよなか紫煙をほつほつ吐くときに魂をともに吐いたりもする
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現金をいくらかやるからきみの顔を一発殴らせてはくれないか
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おめでとう、式は挙げるの? そうなんだ、スピーチだったら任せてくれよ「ずっと好きだったんだぜ」と歌うため一人カラオケ予約しとこう
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感情を「感覚的じゃない?」と母笑い 「感情量豊かと私は想うよ」
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春めいた仕草で本を読めばほら25ページが風でとばされた
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この街に桜並木はあらぬので枕に匂い含ませ持ち来い
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怒るのも呆れることも虚しくてざわつきだけが寄り添う悔しさ
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紫が似合うわたしは相対あいたいの黄色が似合うきみにあいたい
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自粛しろ命を守れと言われたが それにつけても金のほしさよ
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和牛やるマスクをやると言われたが それにつけても金のほしさよ
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悲しくは慰みにとぞ植えにたる木の花今し咲かずありけり
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ぼくの名を希釈してゆけば月になる きみの名前は紙には書けない
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いわば、その、まさに、無意味、でありまして、であると同時に、無駄、であります。
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北風と太陽と僕が競っても僕が最初にきみを追い剥ぐ
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天然が注意欠陥に重ねれば 「人親しむ」とねえや微笑む
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受け身から教えてもらうあいつには背負い投げしてもらうわたしは
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蛸足たこあしのコード辿たどれば二口ふたくちの あなたと私 渾然と混線とコンセントして
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カサカサでぷにぷにの恋は突然に降ってきたりなどしないはずだろ
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無人になったとなりの家の庭に咲く白い花だけ記憶に残る
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なみだをなみだ、と呼んだひと 春のまひるに息たえたひと
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