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工藤吉生📘世界で一番すばらしい俺
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歌集『世界で一番すばらしい俺』短歌研究社から発売中。2018年・短歌研究新人賞受賞。「未来」所属。宮城県在住。
膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番すばらしい俺
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レッカーに引かれる車の後輪の回転を見る出勤の道
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見通しのよい地点から沈む陽を見ていたずっとこうしたかった
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均等な間隔をおいて植えられた黄色や赤に将来はある
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支払いを終えたら外の強風がおさまって、いや、おさまってない
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耐えているみたいな顔の男から目をそらす、また見る、耐えている
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無着色ながら真っ赤なケチャップをつけてポテトを無意識に食う
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この人にも家族があるんだろうなあと想像させる顔の店員
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メニューとはちがう気がする春野菜パスタ見比べあきらめがつく
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あの森は昼も真っ暗なんだよという声がしたほうに振り向く
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意地悪なクイズ出してる十歳のオレに会ったよクスリ屋の前
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扇風機あっちを向きたがっているこの恋はもう終わる気がする
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宇宙から声がとどいて靴下はきのうのやつをもう一度履く
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湧いて出た唾ならかまわないのだがよそものは断固おことわりだね
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悪臭がただよってくる「文芸」の棚で立ち読みする自分から
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不審者の情報はオレと一致せずまだ大丈夫春はこれから
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バス停に女性が持っている本のタイトル見えてグーグルに打つ
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同一のポスター四枚ならぶうち奥から三番目を見てた人
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遠慮したレジの袋でできているみどりの星よあおい空気よ
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釣り針に小さなエサをつけている時は器用に見えていた父
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いいですよ隣の車輌にもうひとりオレがいたってかまいませんよ
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豪快にはみ出しているベーコンをかじって並のはみだしとする
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母の目玉さがす夢から覚めてなおしばらくさがす母の目玉を
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つかのまの光は自分に影がある事実を思い出させてくれた
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ウインカーつけて曲がってゆく車しずかな夜を眠れずにいる
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衝動のままに深夜の暗黒をスマホで撮ってみたよ手軽に
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声のでる自販機いなくなってから記憶が鳴らすイラッシャイマセ
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ふざけてる替え歌みたい制服の上に乗っかるオレの顔面
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仰向けにさせてみたってリラックスできないようだ我が家の猫は
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ギター弾く人のうしろを通るとき振り向かないでくれと願った
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