今はなき 人の温もり 聞くチャイム
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山笑い 頬を染めゆく 桃色や
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Blossoms 蒼きひとみに こぼれちる いにしえの花 なごりの風に
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散る花と咲く花ありて弥生末 じゅんさい池の鴨は羽ばたき
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機種変の 逝きしひとの名 ゆびに触れ ふるさとに聞く 在りし花の香
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手の冷ゆる 彼岸の午後の 徒然に 甘めの紅茶 時かけて飲む
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ねびまさる 川井郁子の ヴィオロンを 直(ただ)にし聴かず 春さりにけり
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焼きすぎて 硬き餅(もちい)を 詫びながら 鶴屋茶房の ぜんざいを食む /鶴屋八幡餅付きぜんざい(鶴屋茶房)
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塩漬けの 桜を添えて 色も香も 雅になりぬ 酒饅頭は
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春風に少年は駆けるよああいまもむかしもさあいけ何がなくとも
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役割を終へし器物に ねぎらひの気持ちを添へ そうっと芥箱ごみばこ
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一人城 引き揚げてきた三男の 荷物が我が家の居間占領し
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わが旅は葉ずれの音の合間より太平洋をはるかに望む
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足下にてんとう虫の歩み観て単車休憩牡鹿の海よ
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興冷めなプラのちょうちん連なりて 地域振興さくら祭の
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子どもらが 欲しいともらった 風船を すぐに手放し 手を振り笑う
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おむすびをリュックサックに放り込み 勇んで来たがまだ一分咲き
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才能があれば書けるし才能がなければ書けない 諦めなさい
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晴天から俺を四六時中監視する何者かを見返す目は無い
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しなやかにうつろふ水を見つめつつ流れの果てに夢を解き放つ
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わくちんを すませてやれやれ つかれたね うでまくらさんで ねんねするニャ
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春風よ いつまでも疼くこの心 そっと包んで 癒しておくれ
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また不意に 寄せて返すこの悲しみは われら家族を しばらく去らぬ
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いとまあり  読書しようと  意気込めど  わずか十分  やる気は失せて
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春よ来い  呼ばれてすぐに  行くものか  季節の意思は  思春期のよう
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傷が付き触れると落ちる背のうろこ一つ一つを拾いてあるく
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すべてを貫く普遍の原理 数学 あなたは遠いということ
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内定も卒論もただの紙だけど 僕は震える肉体ひととしている
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枯れた花 そこに美を見る者にだけ 自然は真の姿を見せる
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牛乳のパックを白い衝立ついたてに豆苗そわせて春の陽増し増し
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