後輩にもらった色紙読み上げて歩く高二の春の家路を
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一瞬の「好き」が積まれたゴミの山断捨離をするおもちゃスペース
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お別れの近づく校舎僕たちはずっとここから空を見ていた
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空高く相手を探すさえずりの 力強さは美しさなり
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檸檬の実 まあるく育ち 収穫す 色も香りも 春はすぐそこ
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虹の橋 渡りし愛犬ももちゃんに 今でも詫びたしあの時ごめんね
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水たまりみたいな今を 海みたく広げる 皆みながおよげる海に
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車にて検査を受けて泣く孫の 後ろでママの泣きそうな顔
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ポンカンに親指の爪たてたならまだまだ遠い線香花火
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どのうたも深い想いと湿り気と吹き出てやまぬぬくい噴水
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中敷を洗って干したありがとう君のおかげで冬を越せたよ
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今の世の悪辣無法な為政者の責任取らせる善法なきや
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葱一本持って戦えこんなにも馬鹿馬鹿しい夕空の下で
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思春期の 心をきっと 救ってた 素朴な昔話はなしや 原風景が
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このように霞に構え全身に攻めと守りを満たせよ、春に
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拒んでも 逃げて隠れて 無視しても 明日も世界を 羽織るのだろう
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この星に生きてることを確かめるように縮めるGoogleマップ
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今はもう母の否定は気にせぬが 肯定されれば今なお自信に
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やぐらにて長閑のどかに香る盆梅の足元残るいくさ狭間跡さまあと
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佳きことを 想い浮かべて 動くなら 我らの頬を 撫でる春風
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ワクチンのついでにおつめも切られたの ねこたちしんなり 昨日から静か
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肉球にくきゅうはポップコーンの香りなり 赤ちゃん猫とかどうなんだろう(ミルクの香り?)
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好きなひと想い浮かべている今が ひとりじゃないと思う幸せ
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りんご剥き ちょいと包丁で引っかけて いいんだ手の爪 今日切るよてい
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渾身の詩を練り上げて完成と 思った矢先に語句書き直す
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わたしたちはだしだしななしだしだがしかしさがしたいかたいいし
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手に取ってちまちまほぐすカニカマをまだるっこしく思う日も有り
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気が付けば 君と別れた この場所へ あの八月も 思い出として
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失恋は 春一番が吹くように 儚くそして 突然なんだ
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アスファルトのきらめきだけで冬だってわかる気がした信号の前
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