ぼくたちは透明たちにつながれてまどろんでいた おいで、沈黙
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昔には戻れないから祈る手に手を乗せ重ねることしかできない
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あなたは決して諦めないからあれの元へと走り去っていく
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あれのため命を捨てるあなたなら笑顔もすべて独り占めする
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今年の夏は魚になるよ太平洋泳いであなたの胃がゴールです
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あと何度空を舞うかな鯉のぼり 小さな庭に今年も揺れて
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お風呂場でプロゲーマーになりたいと 初めて君が夢を語った
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晴れ間見え散歩に出ればヒヨドリの二羽も飛び交う白樺の木に
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後ろ髪引かるる思いで仕事行く 父を見送る玄関の君
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十一時アイスクリームの哲学はブルーライトの叡智に宿る
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お父さんの帰宅待ちわび寝落ちした ソファの上の君が愛しき
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除雪車に高々積まれし名残りらしひとくれの雪忘れられてる
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連休に義実家行くのがつらいとか聞かされたとて何もわからん/知人の愚痴
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思い出が寂しい夜は短歌 を楽しみ楽しみてモクモク生きる
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酒タバコ女のロックを破壊してネオクリーンな音掻き鳴らせよ
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趣味じゃなきゃ続かないのに依存して これが己だと思い込むなかれ
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ハードコアテクノみたいな言の葉を摘みたい 無理かも ブチ上がるだけだ
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チクタクを無視してしまう癖がある秒針だけはときどき睨む
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君の影ひとつぶんの空白を 対面のここから妬ましくみている
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凍てついた空気で満ちて変わらない二番線 コンコース ゆらゆら
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ええとそので忘れてる季語を誤魔化すこの夜はまだ寒し
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窓開けただけで冷たいてのひらを頬にあてても 君は三度寝
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泣いていたあの初雪の日のことも上書きせよと舞い散る綿毛
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丁寧に淹れていまいち安い豆雑に淹れると結構うまい
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一斉に飛び立つ蝶を見送ったのは何番目の僕の記憶?
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メンバーに愚痴を言いたくなるけれど愚痴は弱音と思われるだけ
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レジェロ きみの楽譜に残されたさいごの願いまで軽やかで
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私今テンション高め何故ならば「冨永愛に似てる」と言われ
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今はまだ 山の中腹 辺りかと 柔き顔した 師を見て思ふ
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暑過ぎず寒過ぎぬ日の心地良き 短きものと思えばなおさら
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