きみのてからたびだつものはたぶんきみのでぐちをみちびいている
5
巷では人事異動に泣き笑ひ。そをみて我は悠々閑々
7
船乗りの 親父の部屋に 貼ってある 金髪美人の 裸の写真
5
去る君の 車内に残した体温と 匂いも抱く 短夜の夢
8
西日背負うあなた驚く 手に残るねぎの匂いを嗅がせあったり
6
花ふぶき セーラー服の襟を立てる 地元の駅の自転車置き場
10
暗夜行路も桜並木も越えてイチョウの葉をつけるあなたに向かへ
7
ガスグリル魚はダメよパン専用こんがり焼けるわ恋も未来も
16
超えやすい 境界線も 繋がりも 関係性も 曖昧なライン
5
後ろ髪ひかれ月背に忘る道 霞む夜空の星に溺れて
20
直に心 触れ合えることなど稀 時間よどうか このまま止まれ
5
小粒でしょ わたしの帰り待つ母は 冷蔵庫の中 思い出詰めて
6
着るものの 色味が少し 明るめに なりそうだけど ならないような
7
好きだって言いたいきもち溢れてる車椅子から立ち上がるほど
7
生ごみを荒らす鴉は生ごみを何だと思って啄んでるか
9
「ただいま」と ひとひらの桜花 襟に着く 蜻蛉返りの 春に「おかえり」
9
もう聴けないあの人は辞めてしまったし僕のミクでは歌わせられない
5
三月の晴れた桜の木の下でランドセル背負い早撮りしてた
11
心痛の夫の食欲戻り来て庭にも一歩 せなに春の陽
34
暗闇の中 我探し鳴く君の声 聴こえた気がして じっと耳澄ます
24
機微の春さえずり心震わせて土蒸す野花は夢に目覚めて
24
もう散るかまだ寒寒し夜風吹く生き急く花に恨みごと言い
7
あかつきに 寝覚めて 十首詠みて恋ふ 雲と見まごふ 白き花枝はなえだ
32
自販機の光は月より明るいね。ごっこでいいから。恋人ごっこ。
3
父と夫二人の影を背に負ひて 息子のなかの光へ歩む
26
朝靄に身を浸しつつ思ひをり 旅立つ私は一人でいいと
36
よろこびもかなしみさえも自分からいちばん遠いところに置いて
10
数だけを追うは愚かな仕事なり仕事の魅力が人なり作り
19
鶯が声高らかにファンファーレ 鎮守の杜も春爛漫なり
28
飛梅とびうめの さくに結びし 『吉』神籤みくじ  『大』がつくまで 引いてみようか
22