何故ママはジュラ紀に産んでくれぬのか問はれどもただ謝るしか無し
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旅先の部屋に置かれた折り鶴を捨てることなく子に持ち帰る
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牛車より裾ほの見ゆる祭りかな蝶の羽風に匂ふ橘
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「病室を綺麗にすることがお見舞いよ」 その言葉胸に清掃パートいそ しむ
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裏切りも 色恋すべて 忘れたい だけどスマホの 写真消せない
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楽しみな事を見つけるたび思う その日までは生きようと決める
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躓けど掴みしバトンをつなぐ子のつらき折こそ貫かるる意志
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朝十時 空調の効かぬ講義室 暑くて授業に集中できぬ
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【SF】アメリカの 三大AI れんけつし 経済予想 株でもうけるひといなく
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あらいやだ ほっとふらっしゅ やってきた ゆびをおっては ゆりさけぶ。
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苔さらいドジョウ探すか水底をトプンと覗くカルガモ一羽
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ドタキャンで 空白の時間 できたけど 埋めれもせず 流れていくだけ
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パン、玉子、バナナと赤子抱えつつ日陰ぬいぬい歩く酷暑日
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地獄って八層あんでしょミルフィーユみたいに齧れば香ばしそうじゃね
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思い出の欠片は土に帰るから また春に会う花は咲くから
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今時の子どもは知らぬことだろう公衆電話の掛け方なんか
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腕枕寝かしつけてる熱帯夜 日付が変わり三歳になる
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酒やめて ギャンブルやめて 女やめ まともになったの? なんにもないよ。
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まだ五月 されど酷暑の 朝七時 ポロシャツ着た 生徒を見ん
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ラッシュ時 駅構内の コース取り 失敗すると 電車逃す
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放ったら当たってしまい床上でもがく生きてるスリッパを振る
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福祉課の職員が来るその日にはシャンとしている母の不可思議
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くたびれたブラウン管の奥深くあのブローチはしまいこまれる
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ぼんやりと首を括るが覚悟なく紐は解けて地に落ちるぼく
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ただ風と光を遮るものとして在ってくれよと願われる人
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厳密に言えば連続性などはないと思うが同じ名で呼ぶ
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あれやこれ言うよりはやいこれやって 言葉以外を伝達する駅
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人間は容易に人を裏切るが金で心を買える虚しさ
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首長竜彫って色沁む良き庭に清む白いテッポウユリが靡く
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根が真面目って葉っぱは腐ってるってこと?使う言葉で切り捨てる俺
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