食パンがトーストになる瞬間に初夏の粒子で伸びてく寝癖
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透明な気圏の中ですれ違う気がしたわたしと初夏の蝶
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歌壇には名前も好みの歌もなしかすりもしないが空は晴天
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もしかしてわずかな期待秘めながら名前を探す歌壇の朝に
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そういえば僅かな時間しかないな生き急いでく今日から俺は
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開け放ち俺のイビツなロケットを抱えて飛ぶよ一瞬のスパーク
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自らの血肉にしようあの歌を咀嚼していく三十一文字で
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電気代 上げねばならぬか 物価高 来たる夏に 備えられざり
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寒暖差 寒き昨日と 暑い今日 五月半ばに 来る夏憂う
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私には出来ないことをした人に会いたい(死んでも会いたく無いね)
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充実の日日を過ごしてこの虚脱いつしら輪ゴムは伸びきったまま
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するしない持つ持たないでうるせぇよ 死ぬまで生きるそれでいいだろ
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独身に戻り自由の身になってそれでも恋は高いハードル
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人妻で蓋をしていた感情も、煮こぼれそうでまた蓋をする
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身重だと身体痛くて仕方ない。夫に紹介された運命
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患者には触れなきゃならぬあなたへと触れられたため恋してしまう
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丸点は気にしないでも良いですがやたら充電減る時は来て
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もしかしてハッキングかも丸点の恐怖で急行ドコモで消える
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味のないガムを噛み続けるように惰性で生きる深夜二時半
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「猫飼いたい」言うはタダよね命抱く覚悟なんて露もないのに
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ぷよぷよのおなか気にする君と僕 ケーキほおばる午前一時よ
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つるつるとてのひらをすべる文字たちよ明日もどうせおなじ一日
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海沿いの 町で育った 少年の 休日むなし 友と磯釣り
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隕石が落ちますように 私の火照った指を冷やしたいから
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サウナにて 攻めてみせよう 腹回り 燃やしてしまえ 内臓脂肪
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出来るなら林檎の花を湖に浮かべ小さく小さく死にたい
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慾望するところすべてがねむりをるデッキボトムを刻む、夢まず
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今日の昼 空に雲たち 夕立の 激しく降れば 夏になるかも
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生意気な春風ごときが掻き乱す 焦燥感さえ今は恋しい
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すれ違う二人の日々を数えても熱を忘れしコーヒーカップ
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