鶴の群れ飛び去る春の空たかく見送るように鳶は集ひぬ
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顔なじみ ラーメン屋にて 頼む品 タンメン変わる 我が病から
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五線譜のごとき夜明けの電線に黄金こがねかかりて光りかがやく
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春先の 駅に佇む 少年は 垢抜けた顔 証書を持ちて
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どん兵衛が入らなくって こんがりパン じっくりコトコトコーンポタージュ(寒いね)
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簡単に 思想がおわる なにもないわたしに慣れて 思想が続く
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引っ越して2年が経って鼻が効く 沈丁花って咲いていたのね
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噛み付きたい舌が痛いかみつきたいしたがいたい従いたい
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カワラヒワ 春は名のみの 砂嵐 飛び立とうにも 千鳥足かな
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適当に歌った母の鼻歌を 舌っ足らずに真似してみる吾子
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空白く弥生の風は雪まじり咲きむ花の試練となりぬ
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クーポンを使わぬ勇気なく送料無料めざして要らぬもの買う
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地割れした道から芽吹く花ありて 僕らの街も春は来ますか
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狂い咲き 寒月に舞う 桜花 身を焦がすのは 夏だけじゃない
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喫茶去の実践としてカフェモカをニルギリにしたまだ遠い朝
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「文庫」という行き先がある東京はすこし文化だなあとつぶやく
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難役を全力演技君たちの痛みと孤独エレジーにする
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デジタルを進め物流効率化フジ新会社始動のセール
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亡き父の苦難を胸に行進はビキニ被災の70年ヘ
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承知せず連発消化不良だと深まる闇ヘ意識の欠如
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送信後打ったメールを読み返す遅い返信いぶかりながら
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梓弓春は山路ぞ急がれぬ花の色々鳥の声々
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チラチラと雪が舞ふとな 3月に 病院帰りの夫つまの手冷えて
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ねこ母の椅子に座るねこ 何思う 3時間くらい居るときもある
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病み上がり 消化によさそな蒸しパンを食べておしゃれ着洗いも延期
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自転車で上り坂道向かい風  十分ですやん 遅刻の理由
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この分じゃ生涯使うことだろうスカイセンサー5600馴染みのラヂオ電池を替える
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こごみ たらの芽 ふきのとう 春がきた シェフも来てはくれまいか
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誰のものでもない自分を照らしてる誰のものでもない月光
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春雨の雫も匂ふ軒の梅は誰が袖触りし形見なるらむ
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