少しずつ 暗くなるのが 遅くなり 雪景色でも 春を感じる
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目覚しに勝ち新聞を待ってまたボツの二度寝は大遅刻あゝ
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雨上がり レンブラントの 光差す 至高の光 嫋やかに舞う
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五百フォローの海に溺れる君の言葉の足枷つけて
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頑張って死なないように生きている 頑張らないと死んじゃいそうだし
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珈琲に溺れて死なむ春の夜君とは二度と会いたくないから
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好きだった睫毛の長さ 副作用だと知ったけどもう遅かった
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髪なんてあっても無くても同じでしょ 全人的に大好きなのに
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言うことを聞かないPC宥めつつ 過去と未来を入れ替えていく
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僕の弱点を聞いたら「よく知らないけど」と前置きしてくれる人
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三月をそっと掬って蓋をして 蕾のままなら散ることもなし
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雪兎もうさようならよと消えてゆく南天ぽろり涙とともに
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吹き消してほしいこんなに美しい雪原にいて燃えるわたしを
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若き頃、青い鳥へと文字を吐き、今はこうして泡沫と踊る
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謝ってばかりの人生だったから「先立つ不幸をお許しください」
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眼福耳福 より良く生きる術なれど 舞台見たくも チケット高額悲しけり
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「二十五を過ぎたら死ぬしかない」という歌詞に私は生かされている
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食べないの? 窓辺のベビーリーフ 黄色い小さき 主張の花咲く
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ストーブの前はあなたに譲るからそのままでいてここで息して
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大河みて秒で泣き顔スタンプを 母に送れり ロス甚はなはだ
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映画館 感情ばかり渦巻いて 初めて立った エンディング中
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わかったよわかった全部わかったよ大型犬になればいいのね
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休日を終わらせたくないこんな夜も 車窓に流れる人の「日常」
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わたしはたしかに寝たいのに身体が寝床へ向かってくれない夜
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赤ちょうちん友と道草一杯が二杯になりてほら男爵になる
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ささくれた心を埋めるため食べた、ボロネーゼは腹のみ満たした
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布団、部屋、家や世界で独りでも、きっと私は声殺し 泣く
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むすびづ かたきつぼみの張りぬれば 春の吹かせし風やとくらむ
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浅春に じゃがいも種イモ 土に埋め 芽吹く命を 楽しみに待つ
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その先に続くことばはみとめない最後のさようならにはしない
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