オフィスにて席に戻ると缶コーヒー「昨日はありがと」彼女の筆跡
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評価されてもされなくても多様性 〇でも×でもそこにいていい
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わたくしは木蔭で煙草を吸っており、あなたのお膝で休みになるの
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息災を尋ねるためにする電話米寿の友の声の明るく
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団交で向かい合う日の上役は硬い組織の貌をしている
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虚しさと 切なさと 心壊こころ弱さを いつも感じている あなたを想って
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ぐびぐびと のど鳴る音が 気持ちよい スカッとさわやか 五月の炭酸
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好きだって もう云えないよ 「ごめんね。」と 君に言わせて 重荷だからさ
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散財の理由をめぐりいざ開戦きみのスマッシュをカットでいなす
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伺へど休診の札かかりをり熱のある子の手を引きかへる
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近寄れば塀の上より飛び降りて悠々として歩み去る猫
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け どっぷり汗を いている グラスのジュースは 生温なまあたたかい
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もう一度 君に会ったと してもさぁ… 好きだと言える 勇気はないな
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ら抜きにはら抜きなりの経緯があって、深呼吸して本日出社
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石ハサミ紙の関係疑わず ゆるい秩序で成り立つ世界
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いきむ猫 振動止まぬ 噴火口 大地に降りし 1本糞
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別れてよ お幸せにね が心中で戦う いつも勝つのは前者
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春おわり ぶわり広がる夏の色 すずしい夜は残り少ない
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指先で触れたら止まる一瞬の切り取る表情かおが嘘ならいいのに
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みんな同じだ。こんなに怖いのに。もう慣れているのだ。風呂場で雫が落ちて鳴る。
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レーダーにうつらないざざ降りの雨きみを足留めさせる言い訳
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あのひとの手を取った雨の夜からかみさまはもうわたしを見ない
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湯にかりミスチル「Hanabi」を大熱唱 明日あす1日のパワーをチャージ
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夜蜘蛛よじっとそのまま動かずに朝まで待てば君は福蜘蛛
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ライオンが口から出した水なのに崇めるように無言で飲んで
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戯れに企んでいたたわごとを手向けの花に焚きしめている
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ああ言えば よかったというわだかまり コップの茶渋と一緒にこする
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家電いえでんが鳴っているけど知らんふり そよ風の部屋うとうと微睡まどろ
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薫風くんぷうよ私の想い風に乗せ彼の心に届けておくれ
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雨上がり迎えの母と一年生「ママを守る」と傘振り回し
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