いえぬ傷こどものころにできたあざ お腹にひとつと心にたくさん
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針に糸を通せないままおとなになり 夜中にエシレを喫食している
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確認という行為には信用していないという意味も伴う
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降る雪が 全部水なら 雨なのに ああうあああ みぞれじゃん!
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知っている。君が涙を拭いてから、いま、呼鈴をならしてること。
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意図せずに人を傷つけた言葉もまた組み替えて明日の「おはよう」
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春物に紛れた初夏のミント色 強烈な陽射し今も瞼に
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青空にネコヤナギの銀よく映えて一枝手折る確かな春を
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ひらひらと 桜花びら手のひらに 持ちきれなくて風に運ばせ  
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唇と 唇をいま 重ね合うとき 静かなる夜 夢夜のごとし
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たまらない残高もはや日経はおれの家計と連動しない
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一瞬という時がありさよならも言えないままでまた春がくる
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歌がへたなきみの鼻歌知りたくて調べてみたが当たりもしない
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運命の糸を切るため買うハサミ切れ味試す指が足りない
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昔から嫌だったのよ句読点変なところにつけるあなたが
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春菊はどう食べても美味しいですよ私を褒めても構いませんよ
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ねじ巻き時計が廃れてから人は休息を忘れてしまった
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ちびちびと 使いきったよ ハンドクリーム もうキミからはもらえないのに
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たかむらに独り奏づる琴の音と嘯く声は月のみぞ聞く
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寒いが帰りの電車も、満席いつか着くよ、ゆっくりと
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発売時 話題になった 菓子終売 えっなにあれから53ごじゅうさん?
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啓蟄と いえども寒し 雨も降り 吾が虫なら 未だ閉じこむ
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虫たちが寒すぎるって寝坊して啓蟄はまた明日に順延
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君のことリアルタイムでは見てないが 鳥につけた土を忘れはしないよ /サンテミリオン
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啓蟄の ごとく周到 準備せん 来る大暑に 思い巡らせ
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久方の 天の河原に いきわかれ こんはくとが 渦まく宇宙 / 何となく
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飾ってる蛇腹カメラは父さんの形見壊れているけど宝
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箱ティッシュ ねことは切っても切れぬ仲 気がついたらば ティッシュの海に
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夏の日に友から歌集作らない?と誘われたんだカシューナッツだ
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つきにけに うまれえぬ子を もの思ふ うちちる紅葉に 雨垂れに
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