前の日の 夜ふかし響く 休みの日 起きていただけ 起きれないだけ
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通院の循環バスの停留所乗った所に停まらぬトリック
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やる気出ずただただ暇を潰すけど 卒論就活現実が居る
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水仙のかんばせ白くささめいた 少女の群れのしたたかな毒
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大好きといつから言わなくなったのか いつかは言おう大好きな君に
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ささやかに泣いていつかを誓い合う一期一会に去りゆく人々
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いつだってここにいるから 降り積もる記憶はマリンスノウの水底
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あでやかな花嫁衣裳の白木蓮 春は別れと誰が決めたの
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悲しみがひとすじもない晴れでした 革靴の底で踏み躙る花
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お互いのかたちを誰より知っているけど運命になれなかったね
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きみとまた机をつけておべんとを食べる日はもうこないんだよね
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さくらさくら 水路の隅で腐りゆく きれいなさよならなんてないんだ
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あたらしき命のみどりをあつめたようなエメラルドのピアスをながめて「綺麗」
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冷凍のうどんがすくういのちあり 生姜とおねぎとやや濃い塩味
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フィナーレなんて捨ててしまってほしいけど 薔薇の花束は渡したいから
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いえぬ傷こどものころにできたあざ お腹にひとつと心にたくさん
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針に糸を通せないままおとなになり 夜中にエシレを喫食している
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確認という行為には信用していないという意味も伴う
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降る雪が 全部水なら 雨なのに ああうあああ みぞれじゃん!
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知っている。君が涙を拭いてから、いま、呼鈴をならしてること。
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意図せずに人を傷つけた言葉もまた組み替えて明日の「おはよう」
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春物に紛れた初夏のミント色 強烈な陽射し今も瞼に
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青空にネコヤナギの銀よく映えて一枝手折る確かな春を
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ひらひらと 桜花びら手のひらに 持ちきれなくて風に運ばせ  
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唇と 唇をいま 重ね合うとき 静かなる夜 夢夜のごとし
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たまらない残高もはや日経はおれの家計と連動しない
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一瞬という時がありさよならも言えないままでまた春がくる
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歌がへたなきみの鼻歌知りたくて調べてみたが当たりもしない
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運命の糸を切るため買うハサミ切れ味試す指が足りない
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昔から嫌だったのよ句読点変なところにつけるあなたが
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