悪いのはいつも俺だね狡いわよ いつもそうして話は終わり
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お祈りが受信ボックス溜まってく そろそろ奇跡起きてほしいよ
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離婚して結婚指輪を売りに行く ただプラチナの重さの値段
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勝ち筋の見えぬ人生諦めず 書けぬ一行原稿眺め
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間違えた。年齢欄は気をつけよう。 今日から僕は三十一歳。
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客足のいまだ戻らぬ買い物のバスに乗り込む勇気が出ない
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静けさにふと火がついてはじけゆく唐揚げに似た恋をしました
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昼過ぎて夕来にけらし白妙しろたへころも取り込むばば軽業かるわざ
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すれちがう時に少しだけ傘をすぼめる 冷たい雨に沁みる優しさ
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子と言えど ひとの人生 受け入れて見守るしかない無力の辛さ
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子は生きているだけでいい 何度でも自分に思い込ませる苦しさ
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心配してもしなくても結果は変わらない それでも全てに心配は宿る
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風なのかそれとも地震のせいなのか アルミサッシがガタガタガタガタ
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困難は 越えてゆく前 高い山 越えた後には 素晴らしい山
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貴方から借りっぱなしのボールペン 貴方のモノを握っていたくて
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子育てがし難い国になるのかと 憂いてみても吾は独り身
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ハンガーがベランダガラスをノックする 春の嵐の不法侵入
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花が咲き ツバメ飛ぶ春 我からも 季節喜び 纏うの白を
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北風に 大きく揺れる 大木の 耐え忍ぶ姿 心よりエールを
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老犬はよく食べよく吠えよく眠る脚さえ動けばキミは若者
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いつ死ぬかわからない今響いてる冷凍用のネギを切る音
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眠つてもクヨクヨしても腹は減り大きな河の一滴となり
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二人して右のおでこを虫食われ桜は散つて季節はすすみ
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どのくらいもらったのだろうどのくらいあげられただろうもらったものを
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電車から見える河原に見慣れたら そろそろ忘れ物する頃だ
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父の声大丈夫だと明るいが  400kmの距離は遠くて
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背後から 感じる視線 うなだれて 芋えらぶに スタバの人魚
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強い風 春の無残りを 舞あげて 桜吹雪に しばし初夏忘れ
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カーテンを開けて目にる生駒山 視界良好 嬉し晴れ空
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botかな パブで語らう 身の上に 笑みだけ返す 失礼な気がして
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