こんなにも 季節は先に 向かうのに 気持ちは躊躇 咲ききれなくて
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牧之原まきのはらにうちいでて見れば茶畑のみどりは今朝の露にぬれつつ
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陽だまりの レースカーテン 縞々の 尻尾が一本 まっすぐ生えてる
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はこねぢを越ゆれど野にはかすみたつ富士の高嶺たかねを見るよしもがな―新幹線
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ひび割れた心に金を継ぎ合わせいつかは博物館で鎮座す
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八重桜 花びらひらひら舞い踊り タンポポの上にフワリと着地
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棘のある 言の葉ふれこの耳に  こちらは人の心を知らず
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つまらない 言い草耳にし眉寄せる  人はこちらの心知らぬ
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一線を越えれぬ愛と云うけれど 貴方と私の間は薄膜
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悪いクセ 苦手科目を 後まわし 気の重い時間とき 我にめり込む
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親の目を盗む一歳おてのもの 明け方突然響く目覚まし
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桜ってもっとピンクな気がしてた 陽の下で知る無加工の色を
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はらはらとハンディモップでほこり取る ようにイライラ消えたらいいのに
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ありがとう!お花見させてくれた木々 「伐採します」の紙を貼られて
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過去形で命令文は作れない。もう言ってやるな、かわいそうだろ
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無印無印良品で買いたい物と似た物を ダイソーで買い時々失敗
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八重桜 共に過ごした年月が 古き団地に静かに咲いて
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「お待たせ」とドア開け浮かぶ表情を想像してはまた通り過ぎ
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交差点 ママチャリご婦人 すれ違い 荷台の子犬に「キャウン」と言われ
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せめてものターバン巻いて黄砂避け 髪はお下げに結って婦人科
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二年前たしかにきみはそこにいてカフェオレ飲んでた もういない なぜ?
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禿たけど 悪いこととは思わない ああシャンプーが 簡単ですわ
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カレールー 今や定価じゃ 高級品 特売旧価で 嬉し懐かし
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開店初日オープンは テンション上がり 財布の紐 緩む誘惑 理性は何処
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ただ白く黄砂に霞む空に向け負けじと伸びる銀杏いちょうの新緑
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文字なしで 言葉を長く残すため 歌を作った誰かを拝む
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新店舗 初日に買い出し 人だかり 秘策は自転車 停めるに困らず
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暴力に勝てるものはただ一つ それは情報 われは信じる
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友亡くし 今は友無き この身には まみえずとても Utakataが友
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道端の花にも流行りがあるようで 天人唐草減ったようだ
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