西陽ゆえエモーショナルは加速して。車窓に映る君の微睡み。
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無気力が病みの中より出づる時夏の思い出火花と散りゆく。
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冬の日に買った二眼のトイカメラ。夏のdata.を上書き保存。
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日一日ひいちにち 君が過去へと 遠ざかる 新盆準備 我の務めと…
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「60分3杯ルール」の重きかせ 1秒たりともゆるされじとぞ(晩酌)
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炎天下僧と二人で墓じまいゆるせご先祖参列者なし
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意地悪な妻と共生三十余年 ソクラテスもさぞ口惜しかるらむ
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不甲斐ない 仕事帰りに ハンディファン モヤモヤ飛ばせ 優しい風で
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だるい日を数えるだけの平日もデート決まればカウントダウン
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なんにでも詳しい君にもはじめてがあること知ってなんだか嬉しい
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君色きみいろに染まる私は夕焼けで 明日になればそれは消えてる
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冷や水へゆでたて卵放り込み 声漏らす「すっかり夏バテよ」
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梅香る酢の物の出番増えきたり 暑さの残る夕餉の膳に
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泳児らよ確かに速いおぬしらは されど俺の2倍に過ぎぬ
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その旋律奏でてみたく繰り返すシシリエンヌの儚い記憶
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素麺を茹でる君のおでこには一日分の愛がありけり。
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土見れば蝉の亡骸砕かれて子供はずっと夏を見ている
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今日もまた苛立つ矛を捻じ曲げて浪費に向ける、健康ではない。
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白い雲あなたのことを見習って 風に身を任せ生きていけたら
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憐憫の極北までもくのだわ世と折り合わぬ透過星とうかぼしより
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『ニュートン』と『吟遊詩人』の銀人形 並べて観たやレプリカ欲しや(ダリとキリコ)
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ほわほわのあなたのつむじを見るために介護ベッドの隣に座る
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誰にでも 焦りや不安 付きまとい 風に吹かれて 飛びたくもなり
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黒い雲 運動場の向こうから 惑う子供ら たたく雨粒
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「どの刺し身が たいか?」と見分ける AIエーアイも 鯛の旨さを 知ることはない
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大粒の雨と 切り裂く稲妻と 震える大気に あ然蚊遣り豚
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もろこしを選んで穫って剥いて茹で美味くもまずくも自己責任也
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叶うなら訪ねてみたい今一度あの夏の日の瀬戸の小島に
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いつの日か 同じ花火を 見たかった 秋には同じ 月を見ようか
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ヤシガニもウミガメもいない川崎市 つまらない街だと君が言う
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