猫みたいに伸びてる語尾が絡みつく 僕を離してくれない低音
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雨粒を 暇に数えて 過ぎし日の やり残し事 言い淀し言葉
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好きです、を、急いで消して、りょ、う、かい、です、送信ボタンのまわりで迷子
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夕闇の雲をかんなに音げば 今宵禽獣きんじう 息ぞ絶へなむ
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やあ夢や よくも抑揚 やつがれて やましいことぞ 高等芸妓
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嘘ついて 見えないところで悪さして それでも二人 なんとか幸せ
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太陽に灼かれた後の雨粒でエラー発生修復不能
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裁ち替へて今日より蝉の羽衣に風待ちわぶる夏は来にけり
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真昼🕒の蕎麦屋で、呑みすぎ、みんなヘベれけ
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ねこ的🐈人生をよみ、ニンゲンの日記読み直す
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フルルんと 型からぬけて カラメルの スプンもゆれて 今日はカンペキ
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譲られた優先席に腰下ろし「なんだかなぁ」と七十二歳ななじゅうにの春
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賞味期限切れたプリンを食べる またも家から過去が消えてく
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寂しいと 母の日にだけ 思ったり 施設に居る母 面会できず
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受験前きっと最後の家族旅 名前の分からぬ花の香を嗅ぐ
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人に情 湧かせるけれど 正確な 沸点融点 いまだ計れず
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遠からず儚くなるであろう君 時間よ止まれ今直ぐすぐ止まれ
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人生に刻まれたのは ありふれた家族で過ごす休日だった
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服カバンフラペチーノと贈ったら これで充分と遠慮する母(当日にコーヒーくらい)
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うたかたを 指折りながら うとうとと 晴れた日の午後 ごろごろ過ごす
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緊張も やるしかないぜ 正念場 呼吸を止めて ジェンガ抜くように
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ガラス見て 車を見て 鏡見て 切り立てさらさら ウルフカット
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妻と子が もうすぐ帰って 来る時間 俺様天国 終了間際
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母の日に会いに行こうか手土産は 墓前に供えるカーネーション
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タンタンはずっと神戸のお嬢様28歳ファンの心に
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みどりの中 鮮烈なほどのあかい花 バラじゃなかったわ お名前なあに?
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とぎ澄ます耳目さえざえ囀りも若葉も近く風もささやく
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シンプルに 生きることって ムズカシイ 考えすぎて すでに手詰まり
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しばらくは君に逢えぬが寂しくて どのスーパーにも八朔は無し
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ゆらゆらと 踊る尾鰭に 日がさして 水に溶け込む 天女の羽衣 / 金魚
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