ユニコーンには角が生えてる優しさは茎に小さな棘を飼ってる
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台風の季節は青菜もうひとつパンや牛乳あともうひとつ
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蝉時雨バリアにすっぽり捕獲され そのままワープしそうな路上
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決めきれずズロリと過ぎていく三十路の夏 化粧が溶ける
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拝啓 酷暑の候 という文字を見て「ほんとだよ」と思うなどした
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昼食おひるのこと考えられない 時間惜しい 三大欲求 猫・睡眠 ・猫
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8.6のリビングルームの静かさに 祈りと洗濯機の音を添えて
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暑い日に 娘探して 被爆せし 母四十四にて 夭折せしか
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嬉し悲し 海に眠りし 遺骨をと 検査に応じる 弟百超え
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服薬という名の電池でうごく機械人形ドール ホントに機械なら疲れもすまい
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レモンパイ 豆乳レモンクッキーと レモンの似合う月曜の朝
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ひたいに手 かざして歩く 夕焼け雨 女高生らの 声に追い抜かれ
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若きニモ 自由求めて 連れさらる 見つけし父の 心を知るか
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コンゴにて 発見された ウランから 資源の利権 アフリカ中へ
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我が家では野球観ないが甲子園夏の音だしテレビは鳴らす
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広島で 中学生の 動員で 命消え行く 八千人かな
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やがて来る 冬に備えて 餌運ぶ 蟻の行列 阿吽の呼吸
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轟音と洗濯槽の暗闇でくるくる回るわたくしの熊
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ベルギーの 商人気づく ウランから 核の恐怖は 果てなく世界へ
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超好きよ星が降らない夜だって私の一番星でいてよね
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久々の妻と食事、水入らず、話題に欠け、水でうるおす。
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自らが問ひ自らがが答へゐて酒は一人で飲むべかりけり
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台風の近づく海の波高く沖の人魚はいかにをるらむ
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冷蔵庫がやっと来た 女房は嬉しくてドアを何回も開け閉めする
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作業用手袋が道路の真ん中にパーの格好のまま潰れている
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原爆忌 晴天のもと ビル街に この地に絶えた 人々を思う
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本川の 水面みなもに映る 街の灯は 摘み取られけむ 七十ななその昔
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姉弟猫ふたりだし テレワークの日もあるんだし 分離不安はわたしのほうだ
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シニアでも わが猫らはまだ若い部類 しっかり食べて 元気でいてね
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語幹「くれ」「やみ(止み 病む)への変化」の意味か 「暮」「黒」「暗い」「くるう」「苦しみ」
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