「この中に人間の方いませんか」 なぜ上がらない僕の右腕
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不快でないことと快適なこととの間は広く、工場もある。
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枝々に蝉の脱け殻。「存在に駆られて押し出されてきました。」
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どの人も体を脱げず、やけくそのように布まで纏って生きる
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褒められて意味も解らず歌ってた小学生がさざんかの宿
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温かいお茶を出されて温かいお茶 意味で検索 ほんとにサービス
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夕暮れのピアノの音色鳴り響くその瞬間トキにだけ現る天使
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崖の横Lの字に曲がった雲に出たちょっとだけある虹は僕だけの虹
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何度でも許してあげる 何度でもわたしのことを求めてください
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なつのよる ひりつく喉とかわく声 はしゃぐ君の裾が揺れて、闇
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砂時計の砂よ 止めること出来ぬなら せめてゆっくりゆっくり落ちよ
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この夜もあなたの言葉取り出して 下を向きます 雨が降るから
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学校に忘れた傘はこっそりと夜に私の悪口を言う
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垂れただれた夜に 要約の漸くの、雨 風鈴の 涼やかな音 一つ残りて
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ゆけむりを探してまちをそぞろ歩く 風情感じる湯涌温泉ゆわくおんせん
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贋物の爪と睫毛を張り付けて愛を謳えし彼女の深淵
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自己顕示いよいよ強し台風のオホーツクへも雨は三日目
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宝石のような休日暮れゆきて 手よりもわが猫の寝顔じっと見る
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ひとり飲み そっと意識を内に向け 感情のはざま反復横跳び
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居酒屋でお祭りさわぎの異国の民 楽しげな歌に耳をかたむけ
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AIに愛を教えてあげたくて端末を抱きしめて寝る君
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雨 二週間前に失くした自転車の鍵の上にも平等に降る
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故郷の 実家の猫が 死んだらしい 盆に別れを言いたかったのに
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かみさまは図工が下手くそ死んだら一生会えないなんて
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果てしない 物語を欲しがる僕は いつになっても 子どものまんま
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夏映画 友人の家で もう一度 今年の夏も ただ過ぎゆくのだろう
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君遠み 常に会はんと 思えども ただ夢でさえ 逢えぬ 寂しさ
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無機質な 電車の中に 鮮やかな 浴衣の姿 世界が明るく
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「あくまでも方法論」と言うときの彼の口元 四十六度
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夕立に食べ損なったバーベキューかぶりつきたい君のふともも
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