晴れた朝 窓には雨露纏ふ緑 母は天に召され給ひぬ
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時代劇に出ない人生を選び取り 地元の本屋で買ったピアッサー
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わたくしが皆に良いねを押す理由わけは高次脳機能障害なので
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古布を切って織り上げ履いている布ぞうりって何故か豊かだ
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意外でしょ?車も金も無いけれどお腹いっぱい食べられている
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「昔はね何でもできた娘なの」それを言ってはだめだよ母さん
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バツ2だし生活保護で障害者ふかーく思うの辞めてみようか
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一人では生きて行けない世の中を作ったやつは誰なんだろう
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本当は私のために来るでなく呆け気味なる母を伺う
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たかが二年 あなたにとっては 短かかろう でも高校生活 ほぼ無くなったのよ
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さよならはあなたが干したユニクロU、最後の証拠を摘み取ります
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しんどくて ただわが猫と眠るが楽しみで そのためだけに寝る支度急ぐ
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菊取りし名馬敬う者たちの声鳴り止まず 更なるかちを
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あの夏に水を求めた魂へ供養の雨が長崎を包む
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背板なきホワイトのカラーボックスのアイデンティティは白いということ
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ホワイトのカラーボックスに朝日差す 白すぎるから色紙を置く
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担任の気配を探す夏休み 教室の水槽きれいになってた
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水槽の底小さきエビ3つウーパールーパーと見つめ合いけり
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今日もまた 重ねてしまった過ちを 撫でてくれる嘘 路上で探す
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熱帯魚と呼ぶには涼し過ぎる水槽ネオン・テトラが青空見てる
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水槽の揚水ポンプに張り付いた魚を食べる仕事するエビ
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地上でのせわしさ知らず西の空燃ゆる雲の往時も同じか
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満点の答案用紙が満点の容姿なんかに負けてたまるか
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今までの 言い訳してた逢わぬ日々 全部君との 時間過ごせた。
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泣くな少年善戦だった 甲子園の後も未来は続く
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音もなく閉じた楽譜と見つめあう 八分音符は死神の鎌
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熱中症警戒アラート出されても 移動しなけりゃ用事が出来ぬ
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テキストを 仕上げとばかり 熟読す 試験前夜 最後のあがき
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まっしろいシーツで覆われたあとは消毒液のにおいで眠る
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うちゅうでき せつじつなものなど なにもなく かみとちきゅうは はっぱすってる
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