集う色 信号を待ち 虹紡ぐ 鱗粉落とせ 蝶でも蛾でも
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水道の水で食器を洗うときだけは夏とも仲良くなれる
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幸せの端をうっかり手放して遠く消えていくただ見つめている
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最初からすべて間違えていたのかも新月の夜は意外に明るい
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来世などありはしないし かと言って愛していますと言う元気もない
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ひとつぶの雲のかけらがこの傘を選んで落ちるように出会った
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大人ぶり 敬語使うが 逆に 幼いのかな 僕の行動
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亡き祖母の 厳しさ語る 老いた母 自分自身を 鼓舞するように
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地球ほしが重くなったみたいで脳の慟哭どうこく二感にかんを塞ぐと止む
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意味なくも 意味を見出す 人生は とても楽しく 素晴らしいこと
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生きてるが 意味無いことを 知ればただ 生き続けるが かくまでつらし
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会えないと分かって寂しさよりも面影と生きられるようになる/九月四日
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桃を包む果物ネットの柔らかさみたいに自分を抱きしめてみよう
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駆けて行く君の心が鋼でも そっと包める綿でありたい
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親密な関係築くの憧れる けれど 気づかう距離が心地良い
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いい母になってるのかな?亡き母に問えば揺れたる線香の煙
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ほんのりと塩対応の血のプリン 推しの「豬紅ジューホン」スープと踊る
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好きだった 夜を渡った 花の火も 今夜は右側 無音に響いて
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りんりんと 心ゆくまま唄うのを 咎められない 虫になりたし
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夜の風まだ涼しくはありません 夏よそんなに頑張らないで
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独白の多き無人の我が舞台 シェイクスピアのお気に召すまま
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からっぽの棺にすがって泣くふりが上手になっただけの晩夏だ
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押し寿司のきっちり切った規格美は 江戸の阿呆らに食わせんでええ(バッテラ返歌)
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まじわりのあとにあなたがありのままけだるげなままてにとったくし
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君の言う「今年の夏は暑かった」その夏に我居ること願い
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行くべき方 見ながら進む 楽な道 後悔するならやめときゃいいのに
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ぼろぼろの羽でどこへ行けと言う 空を見上げるだけで苦しい
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星空を 眺めた君は しんしんと 綺麗だねと 言い残して
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人知れず罵詈雑言が響く脳 厭世ネガティブの花乱れ咲きけり
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冷えた水顔をつけても冷静になれず静かに夜は明けゆく
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