特急が来なくなった街を見つめ 超特急北陸新幹線にひそむ影かと
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魚津うおづ駅 長いホームを持て余し 二両か四両の鈍行がゆく
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階段を上がる音さえ軽やかで ときめき隠せぬ彼の足音
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言ってやれ 多けりゃいいってものじゃない 俳句が短歌へ短歌がじゅげむへ  
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まっすぐな思いを込めて込めるほど理想からよれていく図柄
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吹き込んだニトロを喰らいマフラーから雄叫びをあげ死地へとはし
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美しき光の芸術眺む横 華奢な手先に目を奪われた
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金沢城 光の芸術開かれり 二度見に行ったが奥は深いと
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「きょう虚無だ」ぽつりと友がこぼす朝 なにかあったら頼っておいで
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金沢駅 能登路のバスの待機列 あなたはどこへ?と老婆がたずねる
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北陸ほくりく」のことばの響きは物寂し 「北」のしわざか「陸」のしわざか
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値上がりかそもそもなのか知らぬまま蛍光灯の値札を見張る
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昼下がりの高速バスでひと休み 気づけばそこは目的地なり
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2限終え 急いでお店へ向かったが 10分の差で閉まってしまい
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あっさりと 背徳感はいとくかんも 味わえる 夜中よなか、ラーメン 最高すぎる
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かの山の羆はそろそろ寝た頃かとんと聞かない出没ニュース
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AIも予想し尽せない運命 たぶんそこら辺にも転がりて
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君の隣で笑ってる 君が撮ってくれた私 いちばん可愛い
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積み上げど風が崩せり賽の石山となるのは何時になろうや
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水面にて 揺れて微笑む星々を つなぎ合わせてモナリ座名付け  
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水切りの石は彼方へ跳ねてゆく底の深さも知らないままに
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僕たちは所詮は土の器だと甘き土塊弄りあう夜
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網膜に焼き付ける君の刈り上げと車道側行く優しい背中
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ざくざくと冷える両手で森林破壊 冬のシチューのブロッコリーになれ
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彼女はいらないとか言うから 勝手に傷ついてる私がいて
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「愛してる」 僕の言葉は 信じない iは虚数と 君は言うのか
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数学で 答え求める 君の癖 キスの仕方は 一つではないよ
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僕が好きが 正しいならば 君を好き そんな数式 聞いたことない
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ときめかぬものは捨てるが良いと聞き何も残らぬ六畳一間
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くるまりて起きるきっかけ探してる冬桜ふゆざくら咲く朝の冷たき
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