山肌の白さは虚ろ遠いまま 足元ぐしゃり 明日そこに立つ
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雪積もる鬼瓦さえひび割れて朽ちゆく寺に人影ぞなし
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母の愛 知らないつもりで 居たけれど 愛がなければ 作れぬコロッケ
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直列のいぬそれぞれにリード持つ空いた手繋げばビビッとくるかな
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流れゆけ夜に凍える魂へラジオ奏でる『愛燦燦』よ
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見定めぬ夫のこころのそのかたちすでに後期高齢なるも
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実験の 終わらぬ夜に くるくると るつぼの中で 私くるくる
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走り去る配達員のバイク音 乾き切った寒空に響く
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「野郎だけの ムサい会だよ(笑)」と言う君の 瞳の奥で ゆれるさざなみ
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骨を折り顔を潰して肩落とす脛を齧って首が飛びそう
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この夜も 一人じゃないと 知るために 花を育てる 線路沿いに住む
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テッパンのお土産菓子に舌鼓 つまの笑顔で温もる寒夜 /博多通りもん
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スマホって正直だわねガザガザの指は好みじゃないんですって
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世界には知らないことがいっぱいでだから明日も生きてゆけるね
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えぐれてる口内炎を舐めながら「にくづき」を月と書く訳を知る
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触れた手が凍る海から掬い取る サルパの触手 心絡めて
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シルバーのブーツの女性もその挙措と瞳に愁い煩い秘めて
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子どもの本磨きて存外装幀が綺麗でやにわに嬉しくなりし
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たいようの いちとか たいないどけい体内時計なの(諸説あり)ねこにもあるよ きそうほんのう帰巣本能
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友くれた 鳥羽の土産のパール・ブレス 色違いイロチのお揃い うれしいありがと
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枯枝に風の浮かべる月の舟響き冷たき銀色の笛
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走り出し 止めれぬ加速 この先へ 頑張り次第 何とかなるさ
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弱まった電池を入れた置き時計秒針が右往左往している
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祖母が好きだった鬼灯束ねては揺らせばそこに骨が鳴る音
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くぐもった声聞こえずに不公平 ふざけた話 努力せずに
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シェード透きはすに西日が手を伸ばし、まぶたも店をしまうむにゃむにゃ
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君を食べてしまいたいけれど食べたらなくなってしまうからなあそれはいやなの
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人肌の暖かさとかのありがたみもう忘れたよ思い出したい
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サンタさん自分の親と妻の親本気で悩むクリスマス前
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「二万円貰える動画をあげている」なんで自分で使わないのか
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