もう何処も行かせやしない黙ってて私は生きるあなたが好きだ
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できること 思いきりやり やりきって 夜迎えたい 私の決意
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ふる里のバスすれ違う道向かいチャリかっ飛ばす影の若さよ
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今日もまた暑くて散歩は短めで嗚呼やな癖がついてしまうか
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しゃくしゃくと今年初めて落ち葉踏む未だ真夏日九月の公園
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働いてせっせと納めた保険料 使わせられぬ現実ここに
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目を落とすその瞬間まで気を抜くなキン肉保て団塊の世代
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目指すのはピンピンコロリその日まで地域の女性ははらは通う百歳体操
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哲学者気取った男と物書きを気取った女がいる我がアパート
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でも今日は のんあるなのさ オールフリー すぐにキャベツの煮物をはじめる
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ごまだれの冷やし中華に ビールよき 残ったタレで一本いけそう
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珍しく朝から仕事予定なし歌を捻ろか小説読もか
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『父親は泣かないもの』と信じてた 五歳児ドアに手を掛け佇む
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長き脚すらりと伸ばして水溜まり 跳び散る水玉 湧く湧く歓声
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センチメンタルになって初めて センチメンタルの意味を知る
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来週は彼岸の入りも来るんだが本当に暑さはそこまでだろうか
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校庭のチャイム知らせるお昼時けれどボッチの弁当寂し
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振り向いてふいに重なるその瞳けれどずっとは直視できずに/題『ポエマー』
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青空に雲のたなびく生駒山走る電車の窓に広がる
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何かしたい何もしたくない何かしろ何をしようか何かしたいよ
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明日には剥がす壁紙すみっこに「給料あげて」書いた切実/壁紙
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不意に来る天に試される瞬間をどう生きるかで景色は変わる
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西陽うけ少し伸びたる影を踏み友待つ街のバルへと急ぐ
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こんなにも 悲しい日が 来るのなら 笑い袋を 買っときゃ良かった
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冗談で 今度ランバダ 踊ろうよ といえば 素直に喜ぶあなたが好き 
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履き慣れぬスケートシューズのうちがわの絆創膏は愛を知ってる
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ひとりではできないことを知ってゆく リボン結びを教わるように
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いつのまに入道雲の空がいて秋刀魚の気配をさがしてまわる
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風船を差し出すようにしあわせなふくれた顔をみせたい きみに
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わたしらはみんなの世話をしていると わてら陽気な泉南のノリ
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