代車にて 緑内障の 検診に 行ってる時点で やばくはないか
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一等賞 ノーベル賞に 金メダル 芥川賞 欲しかったなあ
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雁の影赤ん坊ではないけれど黄昏て泣く秋は夕暮れ
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綺麗だね 零れた言葉 十五夜に 君には見えない あの満月が
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寂しいと風が俺に叫ぶから真正面から抱きしめてみる
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水かがみ危うく揺蕩う月のもとへ桔梗の小舟を使いに出した
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目にとまるように伸ばした祈りたち 野でも庭でも花は綺麗だよ。
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出発と映画は遅いほうがいい 日々から半歩はみ出た浄土  
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家並みの途絶えし先の廃屋に曼珠沙華ひとつ離れて咲きぬ
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天ぷらを一匙運ぶお昼時 口は幼子百八歳の
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仏壇に数珠の手合わせ目を閉じぬ 伯母の思いは何処へ向かうか
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ほんとうはなにがしたいかかんがえるなにがしたいかかんがえるだけ
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テレビでは ツッコむときに笑い起き 演芸場では ボケると起こる
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百八の歳を重ねた伯母の声 執着のない言葉を包む
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今日もまた髪を梳かしておりました まぶたのうらの冒険活劇
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深海に 散骨前に 行き着いて 底に寝そべり そっと目をつぶる
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私よりできないひとが私よりできることとか得てるものとか
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ねこじゃらし 風にそよそよ 揺れている おみやげさんは いっぽんだけね
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夢に見るほど焦がれるは君なのに複数形で濁したズルさ
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ヌメ革のトートバッグを持った君そろそろ街も薄暮の時刻
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人混みが嫌いな祖父と一度だけいっしょに行った東京ドーム
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些事満ちて我が身儚く蟻のごと空にそびえる怪異の下で
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可愛さと大変さとのはざまにて今日も暮れゆく母の一日
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しっかりと右色で輝く高市人事 連立でいかほど薄まるこの右色
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顔知らぬあなたの言葉に惹かれてる平安時代なら付き合ってたかも
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地の底で溶けて抱き合っていたぼくら なり損ないの星座だったね
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京王線詰められた市民振り子になってカーブの度に時を数える
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たちあがる つまづく しゃがむ ジャンプする 無重力ではできないことだ
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風は凪ぎ踊りをやめた葦たちは まだ月の噂をささやいて
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散り散りになる子供らを追いかける保母さん達の歓呼の声か
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