向かうのはどこでもいいよ話してるときの目のなかに景色を見てる
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うしろ手に金具をとめる 背を伸ばす やわらかい腹 でもいとおしく
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さわったりなでたりしたいやわらかい気持ちをみんなどこで拾うの
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その様子じゃ知らなかったんだねぼくがきみのAlexaと呼ばれてること
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5時ちょうど 音の鳴らない秒針に合わせて閉めた家出するドア
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ずっときみのリュックの推しの缶バッジについてったはずが知らない子だった
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あなたにもらった4色ボールペン黒が出なくてもあなたはあなた
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手をあげてゼブラゾーンをわたってたころはどうにも死にたくなかった
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ぱんぱんの鮭のおなかをかっさばく咎人たちよ痛風になれ
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涙とは小さな海だと言うきみへ ぼくにとっては海が涙です
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夕焼けの鐘が鳴っても公園にいてよくなって子どもは終わる
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今すぐもいいのだけれどそのような気になってからしたいすること
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元彼と 名乗る男が また一人 愛は盲目 犯人はオレ
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寂しさと羨ましさと憧れで足の踏み場がなくなっていく
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葦鴨あしがもの うちれ遊ぶ水邊みづのへに かはづの鳴けば夏の立つらし
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首疾患の上歩行が遅れがちプラス思考で夏の筋トレ
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土いじり庭隅の土を裏返す昼寝のミミズに謝りながら
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燕が宙返りしてそら眺め、 上向きに飛ぶ希望に燃えて
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一言も発しないまま二日間ベッドでスマホいじくるだけの
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時折に訪ねくる息子の腹回り気がかりなれど甘味勧める
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つば九郎が宙返り
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お経より ボレロがいい と言っていた 父の墓前で 15分間
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窓を出て外で遊んで猫さんは反対側の勝手口かってに戻る
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甥の顔眼むる白き顔声かける遥か遠きの笑顔が目に浮かぶ
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夜の空きらめくあかり忘られぬ思い出の日々君懐かしむ
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なによりもつよいひかりがあればいいはやくこのめをつぶしてくれよ
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今日だけは おうち時間を楽しめと 云ふが如く 連休末の雨
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集合という言葉がはらむバイオレンスを感じたあなたはともだち
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「さむい」とふ箪笥にしまった形容詞 冬物毛布と再び取り出し(14℃)
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泣いたあとわたしは少しだけさかな目尻からのびる鱗を剥がす
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