帰る家ありとは聞けど春霞たちわかれなば恋しかるべし
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肩の荷を一つ下ろしてまた乗せた三十路四十路のせわしさ懐かし
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傍らで 編み物をするきみが居て 平凡なれど満ち足りてをり 
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雪解けの川辺では、ヘビに食われつ赤蛙、逃げおおせし、ほっとひととき
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あなたにも満ちる何かを知りたくて差し出すものも無くしたけれど
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透明な心なんかはありません大体みんな何かあるので
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お二人の関係性に触れるのはご法度ですか合法ですか
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おやすみかおはようなのか分からない深夜3時の通知、達者で
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あとちょっとだけ待ってれば青になるはずの信号無視する人生
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今日もまた 踏ん切りつかず 冬物の カラーを纏う 四月後半
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軽音は顔を出さずに吹部だけ顔出すような人が顧問で
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抱きしめてさえもらえたらきみがいた証拠となって生きられますか
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みかんさえむくのだるいしもういいやわたしをひとにしろナミンⅭ
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ぼくたちは透明たちにつながれてまどろんでいた おいで、沈黙
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昔には戻れないから祈る手に手を乗せ重ねることしかできない
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あなたは決して諦めないからあれの元へと走り去っていく
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あれのため命を捨てるあなたなら笑顔もすべて独り占めする
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今年の夏は魚になるよ太平洋泳いであなたの胃がゴールです
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あと何度空を舞うかな鯉のぼり 小さな庭に今年も揺れて
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お風呂場でプロゲーマーになりたいと 初めて君が夢を語った
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晴れ間見え散歩に出ればヒヨドリの二羽も飛び交う白樺の木に
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後ろ髪引かるる思いで仕事行く 父を見送る玄関の君
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十一時アイスクリームの哲学はブルーライトの叡智に宿る
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お父さんの帰宅待ちわび寝落ちした ソファの上の君が愛しき
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除雪車に高々積まれし名残りらしひとくれの雪忘れられてる
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連休に義実家行くのがつらいとか聞かされたとて何もわからん/知人の愚痴
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思い出が寂しい夜は短歌 を楽しみ楽しみてモクモク生きる
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酒タバコ女のロックを破壊してネオクリーンな音掻き鳴らせよ
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趣味じゃなきゃ続かないのに依存して これが己だと思い込むなかれ
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ハードコアテクノみたいな言の葉を摘みたい 無理かも ブチ上がるだけだ
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