停戦が近づいてをり弱者には戦争中も戦後も辛く
10
骨太の毅郎節が冴える朝東京大空襲から八十年
10
充実の昨夜の呑みを振り返りエンジンかける車と胸に
11
奥方と子らは我が家に集まりて空き缶七本片付ける朝
9
丁度よい二軒目がなくお隣でカフェラテもらい五秒で帰宅
8
お互いの家事の労苦を褒め合つてお好み焼きを半分こする
13
カウンターキープボトルの酒もらい煮込みをつつく隣家の友と
8
結婚記念日きねんびに夫がくれたシクラメン 最後の一輪 可憐に開花
32
乳酸菌ばかりが朝ごはんになる 綺麗な固形物を食べたい
10
公園で 腰を休める その背中 缶コーヒーと 肩を並べて
9
生きている だけでけっこうすごいこと たまには自分を ほめてあげよう
12
もう一度 君の言葉を 聞きたくて 七秒前に さかのぼれたら
21
後方を確認するたびぶれる軌跡ルームミラーに微笑むあなた
6
また一人 地獄へ向かう 舟に乗り 船頭歌う 鼻歌を聴く
6
行く道は 様々なれど 行き先は 低き大海 高き頂き
3
自らの 足を止めて 振り向いて 高みを目指せ 風に逆らい
5
う蝕有り歯科行き確定のキミが いちご飴咥えて投げ捨てる診察券
5
低き方 流れるままに 身を委ね この世を過ごし 天を仰がん
4
この世では 水は低きに 集まりて 大海となり 静かに淀む
3
小説を 書くのはハードル高いけど これならできそう短めの歌
14
今はただあなたに解体されるきゃしゃな 鹽鮭を眺めてる それでいいの
6
低き方 流れるままに 行く水を 愚かと思う 人に譬えん
2
谷底の 石を拾いて 石垣を 作る職人 無き事もなし
3
認めちゃえとうとうデビューしたんだとめちゃつらいでしょ花粉症って
15
谷底に 石が溜まった 場所があり 転がる石の 安住の場所
4
雛人形 大事に仕舞い また来年 目だけで語る 十五人なり
24
坂道を 転がる石は 自分では 止まることなど できない定め
5
青空の下を電線頭上より西へと走る気持ち良さげに
12
燃やすゴミ 家族いぬのいた分 かさの減る 胸つぶれんを 耐える月曜
20
焦りつつ速く動けと思い出す島村ジョーサイボーグ009東八郎8マン
6