穴なンてなかつたかしれぬ 朋輩の愛でぎうぎう詰めの心に
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神さまはぼくにも与えて下すった うでいっぱいの友だちの愛
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愛でしょう 遠く離れた電話越し 頭上の同じ月を見たこと
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思い切り 派手に転んで 擦りむいた 恥ずかしさ勝ち 痛みも忘れ
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自ずから目先めさきに現れる道を歩いていくの きりきりせずに
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「次こそは次こそ君に勝つために」目逸らす恐れ無限の「次」を
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雨傘と日傘をそれぞれ買う敬意 日除けのプライド 水弾く意地
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カーテンと髪撫でた風追う瞳机に落ちた汗光る夏
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「こういう本を読むんだな」そっぽを向いた 僕を知ってよ
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お前とは泡が消えたビールでもぬるくなってもずっと美味いよ
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喉と肺 痛めるほどに惑いから 離れていられるからそばにいて
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あと何度夜更けを待てば会えるだろう けれど君には朝が似合うね
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晩酌は向かいにお前が居なければ意味がないとは言えずじまいで
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交換をしてもいいけど文句は無し君のことしか書いてない日記
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原点の本懐かしく開いたら指這いのぼる馴染みの赤虫
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遠回りしたけど夢に辿り着く 丸い石ころ 波のゆく先
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リズムとか文字数だとか明日とか 全部ぐちゃぐちゃにしたいんだけど
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ペンと紙、脚は生えぬし逃げもせぬ アイディアだけが独り駆け去る
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成就せぬ想いや夢が絡まって 今の「あなた」の形になった
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不如意ふにょいなる暴力仕打ちの痛み忘れ得ぬ 此方こち人間どう足掻いても
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不安持ち日々を送って行くのなら ポジティブモードに切り替え生きる
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レントゲンに写る右膝の骨棘が夜の不眠の原因なりき
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上辺丈 嘗めて是是 此の味と 決めてけつかる 不毛な舌べろ
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相容れぬ 解らぬ事と 申されて 見る場違えば 見え方違えど
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善かれとか 思いて何を 只流し 仇と成りしや 末の世の夢
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旅先のどこへ行こうと付いてくる吉野家、マック、ブロンコビリー
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少しだけお高いひみつのとっておき 迷わずきみのために作るよ
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唐突な「山には雪」と予報士の 汗で夕餉を囲みし時に
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ひとつずつ死にゆく季節たちの声 ずっと覚えていてあげるから
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田舎の夜 「千春♪松山千春さん」を鼻歌 自己採点 星の拍手と 虫の歓声
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