朝が来る真白い朝が 晒すなよ夜が折角隠したものを
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高齢化 隠居生活 望んだが 赦してくれぬ 姉さん女房
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猛暑日になるかどうかの長月にウールのセーター売り始めていた
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体中 動かすたびに 軋む音 しているような これ高齢化
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仕事とは 誰かの苦痛 種にして 行うものか 今の時代に
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うた友の苦悩分かりし歳なれど いいね押すしか出来ぬがもどかし
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熱心に 働く大人 怖いのう 小さな子供 こわばる体
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アツアツの 太陽光が まぶしくて 人類みんな ゆで蛸みたい
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吾子の苦悩 親の無力さ知り涙 悟られぬよう玉ねぎを切る
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「こんにちは」いつもの不調やってきた 季節の変わり目速くはないか?
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恐ろしき父の足音朝が来る 一刻も早くどこかへ行って
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刺激ある短いフレーズ「決断」は時には毒に思考停止で
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コスモスの香り手につけバスに乗る幼稚園児は爺の手放し
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淑女たる先輩のうつくしいおぐし御髪、きっとまだ団子に結えられている頃
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朝夕にやうやう整ふ秋気配 されど居座る残暑や手強し
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人生に 潤いくれた きみがいる 今ある日々を 悔いなく生きる
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いつまでも 悔い無き人生 追い求め 私は生きる 希望を持って
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我が人生みちを 三十一文字の 短歌うたに詠み 生きた証を 一人省みる
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切なくも、君亡き今の一人夜は 想い廻らし永き一夜は
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チョークを握る指先の白、迷路を辿る指先の黒
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人間が燃えて彼岸へゆくように棺は燃えて方舟となる
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移り行く、時そのままに 人生を映し過ぎ行く、毎日の営み
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疲れ果てはたと眠りにつく君の駆馬かけうまごと脚の7の字
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何彼なにかれとやたらにキレる老人に過去に歩んだ生き様を見る
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月光が刃物になって降り注ぎ地球最後の墓石となる
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スーパーで老いた夫婦がカート押す遅い歩みも背のあたたかい
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あぜ道や 首を伸ばせば星くずと夜露の甘さ 夢見るほどに
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愛してと過去に伸ばしたぼくの手を繋いで未来へと連れていく
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川を眺めることがとても好きでした怒りのようやく尽きる真夜中
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産声を上げたときから待ってたよ すこし寂しいきみに出会うの
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