午後四時の寒さ身に沁む日没を思い浮かべてしまう夏至の日
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認知症ばっかじゃないの母さんに言ったところで何の得なく
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日射し浴び土を耕し野菜愛で笑顔振りまく君はまぼろし
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あかねさす紫にほふぶどう酒を酌み交してぞ亡きひとしのぶ
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野菜にも個々に可憐な花が咲く夫の口ぐせ花より団子
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在りし日の菜園日誌開き見て夫と汗した畑思いいず
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わからない。なりたい顔の一番が石原さとみであるということ
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飲めぬ水嚥下障害母さんは耐えきれなくてプハッと散水
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横並ぶ三十一文字の吐露の列たすけ叶わぬ歌ぞいとしき
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猫さんは抜け毛モサモサまといつつソフトフォーカス散らし振りまき
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五十年を行きつ戻りつ酌み交わす酒は愉しきタイムマシンに
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あの頃に戻りたいと願うたび この恋はもう終わりねと察し
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いつになく暑がる事に疲れても今日は夏至の日ほんの入り口
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見てみたいあなたがそっと隠してるかばんのなかのなかの気持ちを
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見るたびに調べ知ってるはずなのにおぼえられないオルタナティブが
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やっと来たエレベーターが満員だ もう待ちませんあなたのことも
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陶器の豚 ガラスの牛 こたつのトド
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でゅおりんごイヤホン忘れ進めずに待ち遠しきや一人の時間
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目の前にやるべき課題山積みで短歌はほんの息抜き程度
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いつの日か 君と笑って 語れるか 宛てなき手紙 綴る思い出
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あと少し手を伸ばせば届くのに あなたはいつも近くて遠い
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この世には叶わぬことがひとつだけ身代わりだけは許されぬのだ
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虫が飛ぶ 吾のまわりを虫が飛ぶ 腐敗臭でもするんだろうか
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収納がうんぬんよりも今そこにあるゴミひとつ捨てるが正解
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齢重ね銀幕スター追い抜いて演技今なら誰にも負けぬ
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夢食べるバクのお腹の中にはね 私の好きなキミでいっぱい
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いくつもの取引先に顔を出す 見習うべきかな営業キャット(今日は寿司屋に)
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大雲は 真白に夏を 思わせる あの子の腕もまた 白かった
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おしゃべりなあなたが眠り無機質の波音だけが満ちる病室
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何もない予定だけれど何もないそれが大事なスケジュールなり
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